半年で受注、開発、リリースを達成。STORES ロイヤリティ、スピードリリースの舞台裏
オムニチャネルを実現するポイント・顧客管理システム、 STORES ロイヤリティ。このリリースは、プロジェクト開始から受注、リリースまでをおよそ半年で完了させる驚くべきスピードで行われました。その成功の裏側には、ビジネスサイドと開発が一丸となってプロジェクトを進めた背景がありました。このプロジェクトを主導した、プロジェクトリーダー、カスタマーサクセス、セールス、開発の4名にお話を聞きました。
リーズナブルに会員システムを導入できる、 STORES ロイヤリティ
──本日はよろしくお願いします。このインタビューでは、本格的に提供を開始した STORES ロイヤリティ についてお話を伺います。まず、セールスを担当されている山下さんから、このサービスをご紹介いただけますか。
山下: STORES ロイヤリティは、ネットショップや実店舗を運営している事業者様が、ブランド独自の顧客管理・ポイントシステムを利用できるサービスです。
主な機能としては、購入金額に応じてポイント付与、獲得ポイントによるランク制度などがあり、事業者様はかんたんにロイヤルカスタマーの育成をすることができます。従来、ネットショップと実店舗は別々で管理されていることが多く、共通したプログラムを設けることができる点が、一番の特徴です。
──すでにリリースされていた STORES ブランドアプリ とは何が異なるのでしょうか。
山下:アプリ開発が不要であることです。 STORES ブランドアプリ は、事業者様専用のアプリをSaaSのソフトウェアで提供しますが、 STORES ロイヤリティ は、アプリではなくウェブ上に会員証の機構を作るので、 STORES ブランドアプリよりも安価でスピーディに利用いただくことができます。
ソフトウェア化・デジタル化が進む現代でも、顧客管理システムの導入にはかなりのコストがかかります。一方で、消費者はより便利な購入体験を追求するので、それを叶えなければ事業者様は消費者から選ばれづらくなってしまう。 STORES ロイヤリティ は、顧客管理アプリである STORES ブランドアプリ をさらに導入しやすくしたもの。お客さまが求めるオムニチャネルを簡単に提供することができる点が強みです。
プロジェクトリーダー、セールス、CS、開発。
それぞれの視点からみるプロジェクト
──気軽に顧客管理や会員システムを提供できるサービスなのですね。それではさっそく、この STORES ロイヤリティのリリースまでのお話を伺っていきたいと思います。まず、このプロジェクトの全体感について、プロジェクトリーダーを務めた桂さんから教えていただけますか。
桂: もともと、STORES ブランドアプリはお客様からも高く評価されていたサービスです。とはいえ、中には「アプリまでは現時点では不要」「もう少し安価に顧客管理・オムニチャネルを実現したい」という方もいらっしゃり、そうしたニーズに応えるために生まれました。
本格的なサービスリリースに向けて営業や開発に着手したのは2024年の1月のこと。その時点ですでに1stクライアント、リリースの目標日や販売数目標などが決まっており、「作りながら提案する」形でプロジェクトを進めることになりました。
とはいえ、プロジェクトメンバーは、一緒に仕事をするのは初めて。顔合わせ、関係性構築、製品知識のインプットも含め半年でリリースするという、非常にスピード感のあるプロジェクトでした。
──STORES ロイヤリティ の顧客ターゲットは、どのような方なのでしょうか。
金城:ネットショップとリアル店舗を持っている事業者様で、 STORES ネットショップまたは Shopify を利用している方が対象です。その中で、ポイントシステムや会員ランク制度を導入したい、あるいは顧客管理により売り上げを伸ばしたい事業者様が対象になります。また、 STORES ロイヤリティ の特徴は、連携できるECカート・POSシステムが多様であること。STORESに限らず、他社のシステムとも連携しています。
──開発をリードした知花さんには、開発の視点でこのプロジェクトのポイントをお伺いしたいです。
知花:規模の大きい事業者様の利用がすでに決まっていたので、大量のデータを送ったり、情報を処理したりするのが開発として大変なポイントでした。この負荷に耐え切れるように開発チームで知恵を持ち寄り、必要に応じてShopifyの機能を活用するなどして工夫できたのが開発視点でのポイントです。
事業者さまの声を吸い上げ、作りながら売ったプロジェクト初期
──ここからは、プロジェクトを時系列で振り返りながらその舞台裏についてお話いただきます。まず、プロジェクトの初期のことをそれぞれの視点から教えてください。
桂:サービスの提供価値や要求定義は固まっていましたが、具体的な要件・仕様・料金設計に落とし込むタイミングからのスタートでした。そのため、さまざまな事業者様のニーズや感覚をセールスの方からいただきながら、詳細を詰めていきました。
山下:初期の頃の営業は、価格や仕様が正確に決まりきっていない中で、目標が置かれているというプレッシャーがありました。細かな要件が決まっていないため、おおまかな価値を伝えて営業をしていると、やはり具体について突っ込まれることが多くなります。そこから要望を吸い出し、即座にプロダクトサイドに伝えることで、なるべく事業者様のニーズに応えられるプロダクトづくりを心がけました。これらのニーズに本当に対応すべきかどうかは、桂さん、金城さんにそのつど相談させてもらっていました。
金城:セールスの山下さんが集めてくださる事業者様の声を集約し、それが個社のニーズなのか、一般的なニーズかを見極めながら、エンジニアと連携して開発を推進することが私の役目でした。SaaSの開発では、一般的なニーズを優先して開発をしますが、一方で向き合っているクライアントさんからの要望もあるので、両者のあいだに立ち、バランスを取りながらプロジェクトを進めました。
桂:事業者様の声から生まれた機能には、例えば会員ランクごとにメルマガを配信できる機能があります。当初は具体的なリリース予定が決まっていない機能でしたが、商談を重ねるうちにニーズがあることが明らかになり、現在開発を進めていただいています。このようにリアルタイムで機能追加が起きたり、仕様の変更があったりするので開発チームのみなさんには大変なプロジェクトだったと思います。
知花:開発としては、PdMの浅田さんから、実現したい要件と優先度がある程度固まった状態で話が降りてきたので、着手の順番などに悩むことはありませんでした。
一方で、それらの要件をどのように実現すべきか悩んだことを覚えています。例えばShopifyから顧客のポイントやランクなどのデータを参照できるようにする機能がありますが、Shopifyに依存せずにより汎用的な形で提供することで、Shopifyの制約に依存せず、他の機能に転用できるような設計にはできないか、といったことをチームで議論したりしていました。
緊密な連携でプロダクトを磨き上げ、売り上げを加速させる
──プロジェクト中盤から後半にかけては、具体的な仕様や価格が決まり、請求や申込方法、営業資料などが出来上がってきます。このあたりでは、どのような大変さがあったのでしょう。
桂:サービスの全体像ができあがってくると、本格的な案内が始まります。とはいえ、そのままでは事業者の期待に届かない点や、至らない点がたくさん出てきます。そうした中で、山下さんをはじめとするセールスチームが密に連携して事業者様の声を伝えてくださったことにとても助けられました。議事録からはなかなか読み取れないお客様の温度感や気持ち、「なぜこれが必要なのか」という詳細な理由についても共有していただけたことで、リリース後の機能のロードマップや、オペレーションを改善するのにも大変役立ちました。
山下:それは嬉しいです! この時、セールスはとにかくサービスのキャッチアップをすることが大変でした。また、プロダクトが出来上がり切っていない中「こうなる予定です」とクロージングした事業者様の中から、不安を感じる方が出てくることもしばしば。そのような疑問をSlackで共有すると、すぐにみなさんからお返事をいただけてとても心強かったです。
また、セールス組織の中に、新商品を提案する経験のないメンバーのマネジメントにも苦労しました。ニーズも反応も読めない中で、新規の提案をするのはとてもハードルが高いもの。私が先頭に立って商談を行いながら、顧客要望を吸い上げながら、期待値を獲得することはとても大変でした。
金城:セールスの勢いに歯止めをかけないために、プロジェクト後半では導入オペレーションの構築を行いました。受注後の運用プロセスなどを効率化し、受注数が増えてもなるべく人を増やさずに運用できるオペレーションを考えました。また、この時点でまだ解決していない技術課題を知花さんと協力して整理していきました。
知花:最低限必要な機能を開発し、まずはリリースできる状態を目指してタスクの整理を行いました。一部の機能は仕様を調整したり、初期リリースのスコープから外せないかを相談することもありました。また、開発にあたってくれているメンバーは STORES ブランドアプリ の開発も手がけていました。リリースに間に合わなそうになった時には STORES ロイヤリティの開発優先度を上げて開発リソースを集中し、なんとしてもリリース日を守るようにしました。
金城:リリースに間に合わせるだけではなく、これまでよりも大規模な事業者様が利用されるための速度や技術的課題を次々に解決してくださったのにも助けられました。既存のシステムからデータを移行するスピードを上げる提案をしていただいたおかげで、最初の事業者様のリリース希望日に間に合わせることができました。
リリースを迎え、いよいよ本格展開が始まる STORES ロイヤリティ。今後の展望は
──プロダクト、ビジネスサイド双方が一丸となってリリースを迎えた様子が伝わってきます。リリースを迎え、さらに営業や開発が加速する STORES ロイヤリティですが、これからの展望を教えてください。
桂:とにかくたくさんの方に STORES ロイヤリティ を使っていただきたいです。また、導入社数を増やすだけでなく、店舗とネットショップを一元管理することで事業者様の顧客理解をさらに深いものにしていきたいです。私たちが目標を追っていくというよりも、事業者様の売り上げを伸ばすことにコミットすれば、目標がついてくるはずだと感じています。
山下: STORES の他のサービスと同じように、サービスサイトを見て事業者様がサービス内容を理解して、そのまま簡単に申し込んでいただけるようになるといいなと思います。 STORES ロイヤリティ ならば一社でこんなにも安く顧客管理や醸成ができることを伝え、OMOにまだ対応できていない事業者様の売り上げを伸ばしていきたいです。
金城:私もお二人と同じ気持ちです。いかに事業者様の売り上げのトップラインを上げるか。そのためにどんなイシューを解決すべきかをずっと考えていきたいと思います。
知花:私は開発の立場で、リリースに向けて一度コミットした機能や、現在開発中の機能をリリースするために、開発リソースを確保したいと思います。そのためには、導入にあたってのオペレーションをエンジニアの手を使わずにできるようにする必要がありますので、まずはこれを全力で行なっていきます。また、 STORES ロイヤリティを、規模の大きな事業者様の利用に耐えうるプロダクトにしていきたいです。
──今日はさまざまなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、これからどのような事業者様に STORES ロイヤリティ を使っていただきたいか教えてください。
桂:私はもともと STORES レジ や STORES ネットショップの仕事をしていたので、全国にたくさんの店舗をかまえる事業者様にプロダクトを使っていただく経験が初めてです。このような大規模の事業者様に、ぜひ STORES ロイヤリティを使っていただきたいです。
山下:私は、 STORES ロイヤリティ をきっかけに Shopifyを使っている事業者様にもぜひ STORES を使ってみていただきたいです。 本当はECカートも含めてSTORESで完結できたら理想ですが、事業者様それぞれに適切なサービスは異なります。STORESへの入り口として使っていただけることに、とてもわくわくしています。
金城:私は、何かしらビジネスで困っている人、売り上げを上げたいと思っている人にはまず STORES のどれかのサービスを使っていただきたいと思います。そこで STORES のカスタマーサクセスに事業のお悩みや困りごとを相談していただければ、 STORES のさまざまなサービスを組み合わせて提案することで問題を解決していけるはずです。
知花:いいですね、お話を聞いているだけで嬉しくなります。私は街中で STORES を利用している事業者様に出会うと「うち使ってくれてる!」と幸せな気持ちになります。街中で STORES ロイヤリティ を使っているシーンに出会えるくらい、たくさんの事業者様が STORES ロイヤリティ をつかってくれたら嬉しいですね。
デザイン:石橋 講平
写真・文:出川 光
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