「ずっと現場で」から STORES 決済 開発のシニアマネジャーになるまで
今年から STORES 決済 を開発する決済開発本部のシニアマネジャーになった内立良介さん。バックエンドエンジニアとして2018年に入社以来、STORES 決済 の開発を担ってきました。現場主義だった内立さんがチームに目を向けたきっかけとは。シニアマネジャーでやりたいことや、エンジニアリングについて考えていることを聞きました。
1月1日から決済開発本部のシニアマネジャーに
──今年から決済開発本部のシニアマネジャーになられたんですね。おめでとうございます。あらためて自己紹介をお願いします。
内立です。STORES 決済 を運営する、決済開発本部のシニアマネージャーをしています。STORES 決済 のバックエンド、フロントエンドのチームをみています。また、事業的に関わりのあるモバイルチーム、QAチームとのコミュニケーションもとっています。
──内立さんと言えばバックエンドエンジニアとして「現場主義」ではたらいているイメージがありました。現在はコードは書かれていないのでしょうか?
プロダクトに直接関わるコーディングはしていませんが、今でもちょっとしたツールを作ったり、開発環境の整備を行なったりすることはありますよ。おっしゃるとおり入社してしばらくは「ずっと現場で」と思っていたので、シニアマネジャーになったことや気持ちの変化に自分でも驚いています。
「ずっと現場で」からチームの環境づくりに目をむけた理由
──シニアマネジャーになるまで、どのような経緯や気持ちの変化があったのでしょうか。
僕が STORES に入社したのは2018年の6月でした。当時はマネジメントに興味もなく、ずっと現場で働きたいと思っていました。けれど、一昨年の12月にバックエンドチームのマネジャーになった時、自分がコードを書くだけでなく、チームのパフォーマンスを上げるための環境づくりをしてみて、少しずつ意識が変わってきたのです。
仕様の整理を行ったり、チームに入りたての人でもすぐに開発ができる仕様書やオンボーディングプログラムを作ったり、方針を明文化することで開発環境を整えることにやりがいを感じました。
同時に、マネジャーの仕事である目標設定や査定などにコミットするにはプロジェクトに入ってコードを書くと足を引っ張ることもわかってきました。自分自身の稼働はコードレビューや仕様検討、要件定義などに留め、環境を整えることに注力するようになったのです。
──マネジャーの仕事が向いていたんだなと感じます。シニアマネジャーになったのは、何か打診があったのでしょうか?
昨年の夏にVPoEのさとだいさんから来期の期待として伝えられました。正直「早くね!?」と思いましたが、半期でシニアマネージャに向けたスキルアップを全力やってみて、それでも到達できなかったら仕方ないと割り切って2023年からシニアマネジャーになるつもりで仕事を進めてきました。
──確かに半年での昇進はスピード感がありますね。チームメンバーからはどんな反応をもらいましたか?
お祝いの言葉ももらいましたし、ことあるごとにいじられたりもしています(笑)。「シニアマネジャーじゃないすか」って言われたり。ちょうどいい距離感で受け入れてもらっているみたいです。
──シニアマネジャーになるにあたって、なにか意識していることはありますか?
チームメンバーひとりひとりのキャリアにもっと向き合いたいと改めて感じました。みんながどんな風にキャリアを歩みたいのかや、なりたい姿を一緒に目指せるプランやタスクを考えたいと思っています。シニアマネジャーになることで責任範囲や重さは広がるけれど、それよりもメンバーにもっとコミットできるのがモチベーションになりました。
──人に興味があるんですね。
それが実は、興味の持ち方が少し違うのかなって。今お話ししたようにチームメンバーのキャリアや働きやすさには興味があるけれど、悩み事を聞いていてそれを全部自分が食らってしまうということはない。適度な興味を持っているから、みんなに関われるのかもしれません。
まずやりたいのはチーム同士の壁をなくすこと
──実際に1月1日からシニアマネジャーになられてみて、どんな変化がありましたか?
まず、責任範囲がかなり広くなりました。その分ひとつひとつの意思決定の重さも増したと感じています。これまでは STORES 決済 のバックエンドのパフォーマンスを上げることに注力してきましたが、STORES 決済 の開発全体のパフォーマンスを上げるチャンスをいただいたと思っています。
──さまざまなタスクややりたいことがあると思いますが、どんなことから着手していきたいと思いますか?
昨年から数週間かけて、自分のレポートラインの下にいる30人くらいと1on1をしてきました。モバイル、フロント、QA、バックエンドのメンバーです。そこで出てきた声の中に「業務で関わりのない開発メンバーのことがわからない、壁を感じる」というものが目立ちました。
全体定例もなく、毎日リモートワークをしていると他のチームのことが見えなくなってしまいがちです。けれど、他のチームと関わるのは技術的にも気付きがあるでしょうし、面白いはず。直属の上司でなければ相談できることもあるかもしれない。まずはこの壁をなくすことから始めたいなと思っています。
エンジニアリングはチームプレー
──お話を聞いていると、チームワークやコミュニケーションを大切にされているんだなと感じます。エンジニアリングは個人プレーの要素が強いのかと思っていましたが、違うんですね。
エンジニアリングはチームプレーです。だから、コミュニケーションを密に取ってゴールやマニフェストの認識をすり合わせることが大事です。それぞれが別々の作業をしていたとしても、コードレビューなどを通してお互いがどう開発しているかをすり合わせながら進めていくんです。
それらを改善して、プロジェクトがうまく進むようになった例もあるんですよ。
──ぜひ、聞きたいです。
STORES 決済 のバックエンドチームの、プロジェクトの進め方を改善したことがあります。それまでは、タスクのオーナーシップを取る人が決まっておらず、スケジュールも遅れがちでした。そこで、ひとつのタスクに3,4人のチームをつくり、そのうちひとりにプロジェクトオーナーとしてオーナーシップを持ってもらうことにしたのです。
3月にこの制度を作ってみると、スケジュールが遅れることもなくなりましたし、プロジェクト内のコミュニケーションも円滑になりました。12月に振り返りをしてみたら進めやすかったとみんなが評価してくれました。
進行の具体的な進め方は、プロジェクトオーナーに任せることにしたのも功を奏したと思います。それぞれのカラーを生かして試行錯誤しながら進めてくれて、僕も勉強になることがたくさんありました。
──プロジェクトに当事者意識を持つことで、進行がスムーズになったんですね。
そうかもしれません。誰がオーナーシップを持っているかや、なぜそのプロジェクトをやるかが見えてくると、仕事を進める意識が変わりますよね。僕はマネジャーになってみて、そのプロジェクトにアサインされる理由がわかるようになり、これがメンバーの時にわかっていればと感じることがありました。
プロジェクトへのアサインは、そのメンバーの長所、技術、持っている期待や性格の相性などさまざまな理由がありますが、本人がその全てに気づけているわけではありません。「なんでこのプロジェクトにアサインされたんだろう」と思っているとやる気も出ませんよね。
僕はプロジェクトにメンバーをアサインする時は、ひとりひとりにその理由や期待を伝えるようにしています。こういう小さなことでモチベーションは大きく変わるのだと思います。
性質の異なるプロダクトで知見を交換しあえるのが STORES の面白さ
──内立さんから見て、STORES の開発はどんな環境でしょうか?
最近めきめきとテックスキルが上がったのではないでしょうか。スキルのあるスターエンジニアも在籍しているし、CTO室とエンジニアリング室ができたことでプロダクト間のコミュニケーションが増えてきているように感じます。
また、全く性質の異なるプロダクトが複数あることも面白さのひとつ。ひとつのプロダクトでは同じような知見や悩みしか生まれませんが、複数のプロダクトがあることで新鮮な気付きを得られるのは贅沢な環境です。例えば、STORES 決済 はリクエスト数が突発的にスパイクすることはほぼなく、社会生活に密接に関係している性質がありますが、ECでは有名なオーナーさんがイベントを始めるだけで一気にリクエスト数がスパイクすることがある。こうした違いから得た知見を共有できるのは珍しいことです。どうしても飽きたら異動できるっていうのも、いいですよね(笑)。
── STORES 決済 の開発ではたらく人は、どんな人が向いているでしょう?
制限を楽しめる人が向いているのではないでしょうか。STORES 決済 には、国際規格など必ず守らなければならないものがあり、その条件下でサービスを作るのでどうしても競合とも似がちですし、たくさんの決まりの中で開発する必要がある。その分、制限の中でどう工夫するか、頑張れるかを楽しむにはうってつけの環境です。
下から支えるリーダーシップ
──内立さんがこれから目指していることを教えてください。シニアマネジャーとして、どんな風に働いていきたいですか?
正直にいうと、メンバーの時には半年先くらいまでのことしか考えていませんでした。マネジャーになり中期の視点を持つ必要が出てきてそれを考え始めたし、シニアマネジャーとしてはもっと長期の視点を持たなければなりません。
この長距離走を、「下から支えるリーダーシップ」でチームを支えて走り抜けたいと思います。「俺についてこい」ではなく、常にメンバーに僕からの提案と、他の選択肢を用意できるリーダーでありたいと思います。
STORES 決済 の開発は、どうしても法令を守りながら下地を固めるようなやり方が多かったけれど、これからもっとドラスティックな機能開発などをやっていきたいですね。
(写真・文:出川 光)
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