予約システムクービックを迎え、さらに加速する STORES とお商売の未来。佐藤裕介・倉岡寛対談
このたび STORES 予約 として、オンライン予約システム「Coubic (クービック)」が仲間入りしました。heyの代表の佐藤裕介(さとう・ゆうすけ 以下、さ)さんと、クービック株式会社からheyに仲間入りした倉岡寛(くらおか・ひろし 以下、く)さんに話を聞きました。
一番グーグルっぽい仕事と、
一番グーグルっぽくない仕事をしていた
——おふたりともグーグルで働いた経験があるということは、その頃からの付き合いなのでしょうか?
く「そうですね。僕のほうが1年先に入社していたので、佐藤さんが在籍していた間は同じ会社にいました。フロアも違うしプロジェクトも一緒ではなかったですけど、知っていましたよ。」
さ「僕は、入社当時から倉岡さんがとんでもなく輝いていたのを見ていました。いわゆるエース的な存在で、グーグルの中でも一番面白い仕事をしていたんですよ。」
く「当時の僕はかなり世間知らずな状況だったんです。まだ経験もないのに日本の検索関連をまかせてもらえたりして。僕も若いから、『俺って最強じゃん!』なんて思っていて、かなり勘違いしている時の僕を見ていたんじゃないかな。」
さ「日本の検索ページの大きなリリースがあると、日本全社むけのメーリングリストで倉岡さんが検索に関わるエンジニアチームを代表してメールを送るんです。こんな機能を出しました、という内容の最後に “Hiroshi, On behalf of Search team”って署名がかいてあって、”Hiroshi”、かっこいいな......と思ったのを覚えています。僕はその頃広告主の将来ポテンシャルを自動的に評価するツールだとか、なんだかグーグルのなかでも一番グーグルらしくないコードを書いていて。一方で”Hiroshi”は売り上げなんて関係なくユーザーのためになる、いわゆるグーグルらしい仕事をしてたんですよね。」
お商売をする人を支えるビジネスどうし、あらためて再会
——その後佐藤さんはフリークアウトを創業し、倉岡さんはグリーを経てクービックを創業されているんですよね。
く「そうですね。僕はその後グリーに転職して、その後に起業したんですが、グリー時代も肩で風切って歩いているような感じで。」
さ「四天王って呼ばれてましたもんね。」
く「それで起業して、事業としてうまく行かないことも多くて鼻をへし折られ、いかにそれまで会社の看板で仕事をしてきたかを思い知らされて。そこから商売人としての本当の人生が始まったようなものなんです。やっと佐藤裕介が見ている世界が見えてきたというか。」
さ「ちなみに実際に鼻折れてましたよね。」
く「そうそう、子供に最近頭突きされちゃってね(笑)」
——お互いの事業についてはどんな風に考えたり話したりしていたんですか?
さ「倉岡さんがクービックを創業されたばかりの時に、メディアの取材がきっかけで初めてちゃんと事業について話しました。当時7、8人くらいが働いているクービックのオフィスにfreeeの創業者の佐々木大輔さんと一緒に行ったんですよね。」
く「覚えています。その時はスタートアップ界のスターふたりに対して、自分の事業はまさにこれからでこの先どうなるかわからないという状況だったので不安でしたね。」
さ「倉岡さんはそう思っていたかもしれないですが、僕は当時グーグルにいた頃と同じように広告プロダクトをやっていたので、当時と同じくコード書いて、なんとか営業先を探してという目先のお金をつくる仕事をしている頃でした。一方で倉岡さんや佐々木さんはただひたすらユーザーの方を向いてサービスを作ろうとしていて、なんてこの人たちはいい感じなんだろうって思いましたよ。そういう意味ではheyを始めてからのほうが事業の感覚は近くなったと思いますね。」
STORES グループ入りは、"中学生の告白"方式で
——クービックが仲間入りするまではどのような変遷があったのでしょうか?
く「heyが創業1年くらいの時に、クービックと同じように中小企業や個人を助ける事業を始めた佐藤さんに、実際どうなんですか?とイベントで聞いてみたのが始まりです。その時佐藤さんがもともとそういうスモールビジネスの方たちを助けることに興味があったと聞いて親近感が湧いたんですよね。広告などのメディア事業に元々興味があるのかなと思っていたので。それで事業相談などさせてもらう中、事業家としての目線感など、明らかに勉強になることも多く、個人としての佐藤さんにクービックの出資をお願いしたんです。お金が必要というよりも、カジュアルに相談にのってもらいやすくするためでした。」
さ「僕は、倉岡さんと再会して話をすればするほど、一緒にやったほうが明らかにユーザーさんのためになるよなと思うようになっていました。でも、なにしろ自分がもといた会社の先輩な上、スターなので。『一緒に会社やりませんか』なんて、気が小さくて言えなくて。だから、中学生の告白みたいに、クービックに投資していた知人に、『倉岡さんて一緒に会社をやりたいなんて言ったらどう思いますかね?』というのを聞いてもらったんですよね。」
く「名前を伏せた状態で『その気ある?』って言われて、数日考えた後『相手次第です』と答えたら、実はheyなんだよと言われてびっくりしました。直接言ってよ!って。それで、改めてheyが何を目指しているかなどをじっくり話してもらう機会をつくりました。話を聞いてみるとそれは確かに一緒にやったほうがいいなと思って、そこから本格的に検討し始めました。最初に打診をうけたのは2月くらいでしたが、1ヶ月以内には合意の方向が見えていましたね。コロナがあってそれどころではなくなった時期もありましたが、お互いコロナで大きな需要増が確認できた上で株主などの調整をはじめました。」
一緒になってさらにユーザーのための意思決定ができるように
——実際に仲間入りをしてみていかがですか?
く「まず事業として、ユーザーが似ているので明らかにいいと思いました。さらに、STORES.jp もコイニーもそうだったと思いますが、苦しい時期も乗り越えながら長く這いつくばってでも事業と向き合ってきた人たちと一緒に仕事ができれば、今後さらに事業を大きく、価値あるものにできるんだろうなと。そういう肝が据わった経営チームの強さを感じています。そして最終的に何よりもいいなと思うのは、経営者としての佐藤裕介ですね。長期目線で考えており、やっぱりカッコいいなー、って。」
さ「......恥ずかしくて目が合わせられない(笑)。」
——佐藤さんはいかがでしょう?
さ「倉岡さんが来てくれて、意思決定をするときにもっとユーザーさんのほうを向けるようになったのがよかったですね。heyは、それぞれのプロダクトの歴史がEC8年、ターミナル6年半と長く、小さな組織でやってきたので、ユーザーさんのために意思決定したくても、現場のハレーションを考えてバランスをとってしまうことが多くなっていたんです。そういう時に倉岡さんが「それ、ユーザーの役に立ちますか?」とがんがん言ってくれる。もっとサービス開発を加速させなければという時にとてもいいフィードバックでした。」
く「それを聞いて安心しました。正直、毎回言い過ぎたかなぁと、これでも気にしてはいたんです(笑)。今までの経緯もあるだろうし、それについてはリスペクトしつつ、とはいえ、新人としての視点も新鮮なこともあるだろうと勝手に割り切って話しているところはあります。hey のメンバーはそういうフィードバックに対してもオープンなスタンスで聞いてくれ、仕事がしやすい仲間が多いです。
ユーザーの進化にあわせて STORES がサービスを提供していく
——これから STORES はどんな未来にむかっていくのでしょう?
さ「個別の3つのサービスをやっている会社はたくさんあると思うんですが、僕らが STORES というひとつのブランドとしてこの3つのサービスを提供していこうと思うのは、ユーザーさん自体が進化しそれを必要としているからです。これまでのようにサービス事業者だから予約だとか、リテールだからECだとか、そういう線引きが曖昧になってきてる。コーヒー屋さんがコーヒーの淹れ方のレッスンを売ったり、物販をしていた人がオンライン接客を始めて予約システムを使ったり。どんどん新しいことを取り入れて新しい体験を生み出すお商売が生まれていく未来が必ずくる。その時に、heyが提供する STORES という製品がばしっとはまるといいなと思います。」
く「僕が今回の意思決定でいいなと思っているもののひとつが、名前なんです。STORES っていう名前が絶妙で、お商売をやる方たちに役立つことを全部提供していく、という気持ちが現れている。また、僕自身は、heyの仲間入りをする際、今後の事業の可能性や社員のことだけでなく、自分自身の人生を考えてみても『面白い人たちと面白いことをしたい』と思いこの選択をしました。Just for Fun という hey のミッションは、これからの時代にますます求められる考え方であると思っており、STORES という新しい名前で、いいメンバーと事業を展開できるこれからの未来にわくわくしています。」
佐藤さんのお気に入り:YETI GELATO
高速リピート中のオーガニックジェラート屋さん。無店舗で、フェスなどイベントでだけ見かけていたフロム八ヶ岳の優しい刺客!フレーバーのセンス、ほのかな甘み、シャリ感を残しつつも滑らかな舌触り、最高です。冬も食べます!
倉岡さんのお気に入り:BLUE SEAL ICE PARK
約70年の歴史がある沖縄発のアイスクリーム屋さん。アイスクリーム製造現場の見学やアイスバーデコレーション体験ができ、子供たちにも大人気です。
(文・写真レイアウト:出川 光)
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