急速な意思決定と機能の取捨選択が実現した「中小支援プラン」。取締役 佐俣が聞く、舞台裏とかける思い
12月1日にリリースされた STORES 決済 の「中小支援プラン」。月額3,300円でクレジットカードの決済手数料(以下、手数料と表記)を業界最安基準で利用できるだけでなく、 STORES レジのベーシックプラン(月額 4,950円)と決済端末(19,800円)が無料になります。このプランのリリースプロジェクトをリードしたのは宇田川 栞奈さんと、森山 雅子さん。聞き手の取締役 の佐俣 奈緒子さんが、このプロジェクトの背景やプランに込められた思い、成功の理由を聞きます。
最安基準の手数料をきっかけに STORES を導入し、事業者さまの売上向上やオペレーション改善につなげたい
──「中小支援プラン」のリリース、本当にお疲れ様でした。まずは、このプロジェクトのおふたりの役割を教えてください。
宇田川:私の役割は、プロジェクトマネージャー(以下、PM)です。プロジェクトオーナーを務める佐藤 大介さんのもとで進捗管理を行う他、サービスの設計やビジネス要件の整理、アクワイアラーとの交渉も行いました。
森山:私はプロダクトマネージャーとして開発まわりのリードを務めました(以下、PdM)。また、サービスを届けるためのオペレーションやセールスとの設計や調整なども担当させていただきました。
──この「中小支援プラン」の立ち上げの経緯について教えてください。
宇田川:他社サービスが手数料(以下、手数料と表記)を1.98%にするというプレスリリースを出したのを見て、STORES 決済でも実現するために提携先のアクワイアラーに相談をし、それからプロジェクトが一気に進行しました。私たちもずっと「手数料を下げたい」と思っていたので、サービスをより良く、安く提供するにはどんな形があるかを考えてこのプランがまとまりました。
──このプランでは、手数料を業界最安水準にする意思決定をしています。これにより、どのような効果を期待していますか?
森山:これにより、クレジットカードやキャッシュレス決済の利用が増えたら嬉しいなと思います。これまでも事業者さまから「手数料率をもっと下げられないか」というお声をずっといただいていたので、それに応えられることをとても嬉しく思っています。リリース時にもお礼のお声をたくさんいただきました。
宇田川:このプランをきっかけに、手数料がネックでキャッシュレス決済を導入していなかった事業者さまに STORES を導入いただけたらいいなと思います。そういった事業者さまの中にはまだクレジットカードやキャッシュレス決済に対応していないところが多いので、STORESのキャッシュレス決済を導入することで売上が伸びたり、オペレーションが楽になったと実感していただけたりしたら嬉しいですね。
手数料を下げるだけではない。
STORES レジのバンドルが STORES の強み
──事業者さまにそんな風に思っていただけたらとてもいいですね。このプランは、ただ手数料を下げるだけでなく STORES らしさを意識したポイントはありますか?
宇田川: STORES の強みは、決済だけでなく、レジやネットショップ、予約などお商売のフロント業務をデジタル化するさまざまなサービスを提供していることです。ただ手数料を下げるだけでなく、事業者さまを助けられる幅が広いことが他社と異なる良いところ。ただ手数料を下げることもできますが、そうではなく STORES 決済 に加えて STORES レジをセットにすることで、 STORES らしさ を出せたのではないかと思います。
──プラン内容を決める時、どのような議論があったのでしょうか。
宇田川:さきほどの質問にあったように、手数料だけを下げる選択肢についてももちろん議論しました。しかし、月額費用をいただいてパッケージにすることで、事業者さまに一定の期間サービスを使っていただけ、安定したサービスを提供できること、 STORES レジ をセットにすることで事業者さまの業務により深くかかわり、今後も使い続けていただける状態を作れることが決め手でパッケージにすることになりました。
森山:これまでにないパッケージを実現するにあたり、プロダクト開発としての難易度は上がりますが、手数料が安いだけでは STORES を選ぶ理由になりません。 STORES レジ ベーシックプランの月額費用、 STORES 決済 の決済端末費用を無料にしてセットにすることでより選ばれやすい理由を作りたかったのです。複雑な要件をどうまとめるかよりも、私たちが「やっぱりこれだよね」と納得感を持って提供できる方を選んでよかったなと思います。
初めてのプロダクト連携、多くのステークホルダー
難所を乗り越えられたのはメンバーのサポートのおかげ
──プロジェクトが進むと、初期段階では想定していなかったできごとがたくさん起きたのではないかと思います。実際にどのような課題に直面しましたか。
森山:開発の観点では思った通りに進まないことが多くありました。中でも、他のプロダクトと共通の基盤を STORES 決済 は持っておらず、決済の店舗Aとレジの店舗Aが同一店舗であることをどう紐づけるかが大きな課題でした。これまで私は STORES 決済のPdMをやってきたので、それ以外のプロダクトと連携しながらプロジェクトを推進するのがとても難しかったです。
──プロジェクトが佳境になると、さまざまな部署の人から呼ばれて本当に忙しそうでしたね。
森山:開発だけではなく、カスタマーサポートやセールスの方々とも連携が必要だったので、色々なチームの人とコミュニケーションをとりながらプロジェクトを進める必要がありました。特に STORES レジ の機能を理解し、キャッチアップすることには苦労しました。プロジェクトが前に進みプロダクトの理解度が上がるたびに、キックオフの時点では見えていなかった課題が見えてくる感覚を味わいました。
──色々なチームと連携してみて、印象的だったことはありますか?
宇田川:初めて一緒にプロジェクトを進める方もいましたが、皆さんがとても優しく助けてもらえる場面が多くありました。例えば先日のリリース作業を行なっている時、ひとつうまくいかないところがでてきてしまったのです。夜中の12時半くらいの作業で、どうしようと思っていたら、基盤チームの皆さんがオンラインで待機してくれていて。助けを求めたらすぐに対応してくれ心が熱くなりました。
森山:本当に皆さんが助けてくれましたよね。他のプロダクトのPdMや開発の方と話すのはほとんど初めてだったにも関わらず、たくさんのサポートをいただきました。振り返ってみると STORES 決済 よりも他のチームの方とコミュニケーションする時間のほうが多かったように感じます。
プランのリリース直前にはカスタマーサポートを行うメンバーがいる仙台オフィスに出向き、対面でデモを行いました。実際に聞いてくれている時の顔を見ながら内容を説明することでしっかりこのプランの良さを伝えることができました。
──まるでユーザーヒアリングのようで、素敵ですね。アクワイアラーとの折衝はいかがでしたか?
宇田川:今回はアクワイアラーや様々な企業と交渉する必要があり、ステークホルダーが多く難易度が高かったです。多くの人が関わるためタイムラグや伝達のすれ違いがあったりして、社内のメンバーを振り回してしまうこともありました。
──多くのステークホルダーがいると、様々な視点からの意見があって進行が難しくなりますよね。それでも、期日通りにリリースできたのはすごいことだと思います。
宇田川:STORES では、プロダクトやプランのリリース日にプレスリリースをすることが多いのですが、今回はリリース日を事前に告知していたためリリース日を1日も遅らせることができなかったのです。「リリースの12月1日は必ず守らなければ」という強い気持ちを持って皆が進めてくれたおかげでリリース日を守ることができました。
森山:リリース日の事前告知を発表した時には開発もまだ序盤中の序盤で、「本当に間に合うかな」と不安にもなりました。しかし、期日を言い切ってしまったおかげでチーム全体で何がなんでも間に合わせようという気運が高まったのだと思います。もっとも、プロジェクトの進め方はいわゆる“走りながら決めていく”スタイルで、エンジニアが要件検討を一部巻き取ってくれたり、必須ではない機能はスコープから削ったり、カスタマーサポートやセールスを行うメンバーに迷惑をかけてしまったりしたこともあります。しかし、「事業者さまのために」という強い気持ちのおかげで期日通りのリリースをすることができました。
タイトなスケジュールと程よい緊張感に包まれたいい雰囲気
進行の秘訣は意思決定の場と機能の取捨選択
──期日通りのリリースに、特に効果的だったアクションはありますか?
宇田川:週に1回、多い時には2回のステアリングコミッティを設定し、意思決定の場を無理やりにでも作り続けたことです。
──ステアリングコミッティは、形骸化してしまうこともありますが、このプロジェクトではどんどん意思決定が行われる印象がありました。
宇田川:ステアリングコミッティを終了する前に必ずネクストアクションを決めるように気を付けていたのが良かったのだと思います。森山さんが別のプロジェクトでやっていた、確認事項をドキュメントにして意思決定する方法をそのまま真似して、とにかく意思決定をしてもらうことを意識しました。もっとも、このプロジェクトを始める前までは、ステアリングコミッティが何を行う場なのかもよくわかっていなかったくらいだったのですが。
──森山さんはいかがですか。
森山:リリースに必ず必要な機能と、そうでないものの取捨選択をしたのが良かったのだと思います。特に、事業者さまやその顧客の方々に影響があるかどうかを重視して取捨選択を行なっていきました。そのために手放した機能については、順次リリースを行なっていきます。
──このプロジェクトは「空気がすごくいいな」と思っていました。難易度が高く大変そうなプロジェクトである一方で、コミュニケーションが密で「絶対に届けるぞ」というポジティブな雰囲気があったと思います。
宇田川:今回初めてPMを行うことになり、いつもとは違う立ち位置でプロジェクトを進めることになりました。そのため、とにかく皆さんに助けていただくことになることはわかっていました。なので、浮いたタスクにはとりあえず手を挙げることを意識していました。タスクの押し付け合いになってしまうと空気も悪くなってしまいますし、その方が盛り上がるかな、と思って。後半になると私が意識的にそういう動きをしていることに皆さんが気づいてくれて、タスクを巻き取ってくれるようになりました。
──役割を超える様子を見て、サポートしてくれる人が出てきたんですね。
森山:このプロジェクトの雰囲気が良いのは宇田川さんのおかげです。先日リリースしたQRコード決済対応も私と宇田川さんで進めていたので、濃いコミュニケーションを取れていることもプラスに転じました。お互いの状況が手に取るようにわかって、必要なフォローをし合うことができました。
「中小支援プラン」を皮切りに次なるプランの構想も
事業者さまの売上を伸ばし、次なる課題にも伴走したい
──無事リリースを終えて、このプランを通して STORES がどう変化していくことを期待していますか?
宇田川:このプランを使っていただける事業者さまは、中小事業者の方々です。この「中小支援プラン」の導入をしてくださった事業者さまが、キャッシュレスの取扱高が増えてみんな卒業していったらいいなと思います。これまで現金決済のみだったのが、キャッシュレスを導入し売上が伸びたり、新たな事業の課題が見えて、新たな課題を解決できるサービスを STORES が提供し続けたいです。
森山:私は、これを皮切りにさまざまなプランを作って行けたらいいなと思います。今回は事業者さまの規模で対象を区切っていますが、業種や商材などによって事業者さまの課題は違うはず。それぞれの事業にぴったりのパッケージをたくさん用意して、「あなたにはこれがおすすめです!」とより事業に特化した提案ができるようになるといいなと思います。また、プロダクトの観点ではまだばらばらな申し込みフローや管理画面などをさらに統合し、複数の STORES のプロダクトをひとつにして、より使いやすいプロダクトを作っていけたらいいなと思います。
──このプロジェクトはすごく複雑な上にスケジュールがタイトで、経営では「あのプロジェクトいい空気だね」とたびたび話題に上がっていました。わいわいしているのではない、程よい緊張感とスピード感があり、こういうプロジェクトが社内にいくつもあるとすごいことになるなと感じていました。最後に、このプロジェクト、楽しかったですか?
宇田川:私はとても楽しかったです。ちょっと( STORES 決済 の前身である)Coineyで働いていた時のことを思い出しました。メンバーもそうですし、スピード感にも似ていて。時には大変なこともありましたが、無事リリースを迎えられてよかったなと思っています。
森山:確かに大変なことはたくさんありましたね。でも、不思議と辛くはなかったです。このプランで初めて他のプロダクトのことを深く知って、視野が広がる感覚を味わえたのが、とても楽しかったです。
──今日はありがとうございました。「中小支援プラン」は、 STORES がこの何年かやってきたことが積み重なってできたプランの第一弾だと思います。これからも第一弾、第二弾と続けていきたいですね。おふたりとも、リリースお疲れ様でした!
写真・文:出川 光
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