変化する商い。その道具になるため組織と技術の課題に向き合う
5周年を迎えた STORES 株式会社。 STORES の経営陣はこれまでの5年間をどう振り返り、今どんな未来を描いているのでしょうか。第三弾のインタビューは藤村大介と佐藤大介による対談。STORES のテクノロジー部門はどのように変化したのでしょうか。また、これからのオーナーさんの商いに対して提供したい価値とは。
技術も組織も、積み上げが実ってきた5年目
──STORES が5周年を迎えました。お二人は STORES に入社されてから今までを振り返って、いかがですか。
藤:僕が入社してからは3年弱が経ちますが、この期間はまるで一瞬のように感じます。一方でとても濃い時間でもありました。CTO室を作ったり、STORES 共通のID基盤を作ったり、STORES ブランドアプリ が無事リリースされたり。例えるなら、3000円のボリュームたっぷりの海鮮丼という感じですね(笑)。
佐:その例にならうなら、僕にとっては、カツカレーみたいな時間でした。胃もたれしてしまうくらいの食べごたえがあるような。経営統合を通じてジョインした側としてPMIをするという大きな壁もありましたし、エンジニア採用の体制を構築したり、半年ごとに違うチームに向き合い続けてきました。色々な人と仕事をすることができて充実していましたね。
──なかでも印象深いできごとはありますか?
藤:今が一番印象深いです。これまで取り組んできたID基盤の導入やシステム間の連携、外部公開APIのリリースなど、これまで積み上げてきたものが実って、ようやく「これとこれを組み合わせたら使えるじゃん!」と実感できるようになってきました。
これまでの STORES は、複数のサービスが統合されてできた会社なので、個別のプロダクトが集まっている状態でした。今はそれをつなぎ合わせて新たな価値の提供を目指していますが、そのための技術的な計画が本格的になってきたと思います。スタートラインを超えて、スピードが出てきたような状態。
佐:組織もそうかもしれません。ジョインした当時は、皆現場に課題があることは理解しながらも、期待されている役割が見えない、どこまで自分たちで決めていいのかわからない等、個々のメンバー、チームがどう動いてよいのか悩んでいたようでした。フォーカスすべきことや、チームが解くべきことを決めてダイナミックに動くのが難しかったのだと思います。それが今では、入社当時の僕がやっていたことよりも難しいことを若いメンバーが担ってくれています。こうやって仕事を託せるようになって、期待以上の組織に育ってきていると実感しています。
──確かに、続々とエンジニアリングマネージャーが抜擢されましたね。
佐:さまざまな技術や組織の課題が出てきた時に「自分がやるしかない」と自発的に引き受けてくれたメンバーがいたのです。彼らに権限委譲をしてみたら、期待を超える成長をみせてくれました。おかげで、組織としてできることが確実に大きくなっています。
──最近では、テクノロジー部門のバリュー「テックマニフェスト」が決まったのも大きなイベントでした。
藤:それまでもみんなが大切にしているものは同じだったと思いますが、それを確認できとても意義があったと思います。改めて何が大切なのかを言語化することで、具体的な行動が変わってきたと感じます。例えば、テックマニフェストを支える6つのバリューの中に「論より動くもの」というものがあります。このバリューができてからは、すぐに「動くもの」を作る文化ができました。
昼に話したアイディアが翌日に動いていて、それをもとに議論できている。いい引力がはたらいていると思います。このバリューをテーマにしたPodcast番組もあるんですよ。さまざまな施策を通してバリューが浸透していくのを感じています。
佐:できあがったテックマニフェストにみんな違和感がなかったし、それが確認できたのが仕事の進めやすさにつながったと思います。それがないと、相手の価値観を探りながら仕事をしなければいけませんから。特に、会社の規模が変化する時には「うちの会社はこれを大事にするんだ」という確認の重要さを感じさせられたできごとでした。
スタートアップでありながら、打席が用意されている
──充実した数年間だったのですね。現在のテクノロジー部門についてもう少し教えてください。現在の雰囲気や、組織の状態はどんなものなのでしょうか。
藤:先ほどのテックマニフェストの話の通り、品質の高いエンジニアリングを目指して常に「動くもの」を作り続けています。この活気のある雰囲気はすごく STORES らしいなと感じています。また、さまざまな種類の技術的な面白さが散りばめられているのも今の STORES の特徴かもしれません。
それぞれのプロダクトをスピード感を持って小さなチームで作る面白さがある一方で、複数のプロダクトを連携する時に出てくる大きな課題に向き合うこともできる。腕の見せ所や遊び場がたくさん用意されている環境だと思います。
佐:組織の特徴は、打席が次々と用意されていくこと。確かに組織の規模は大きく見えるかもしれませんが、よりオーナーさんへの深い課題を解決しに行くために、同時にどんどんあたらしいプロジェクトが増えるので小さなスタートアップが集まった状態になっているのです。兼務されているポジションも多いし、引っ張っていく人が常に必要です。
そのため、新しく入った方にもどんどん権限委譲されていき、みんなが継続的に新たなチャレンジの機会を得ることができます。そして、それを楽しみたい人とチームを作っていきたい。これがなければ組織の成長はありませんから、この循環が続くようにしていきたい。
藤:できる人にはすぐに大きな仕事や役割を渡すつもりです。そして、成果を出すためのセッティングは我々が全力でやります。
佐:まさにそれが僕らの仕事ですからね。
──一方で、現在向き合っている課題には、どのようなものがあるのでしょうか。
藤:技術的な課題はたくさんあります。プロダクトを連携することで起きるだろうと予想されていたものが全て襲いかかってきている状態で、かなりやりがいがあると思いますよ。それをどう真正面から倒すのか、あるいは倒さずにかわすのか、今まさに向き合っています。
佐:組織的な課題は、今の2倍、3倍のスピードで課題を解決できる環境をいかに整えていくかということ。チームの拡大もおこなうと同時に「ここが限界だ」と思わないマインドを浸透させていきたいですね。
OMOが現実になったオーナーさんの商い
──この5年で、オーナーさんやそれをとりまく商いも変化してきました。お二人はこの変化がどんなものだったと感じていますか?
藤:OMO(※)がマーケティングのバズワードではなく、現実に起きているのだなと実感させられます。モバイルシフトが本格的に行き渡って、みんなスマホで物を買ったりサービスを予約したりするようになった。
それだけでなく、リアルな店舗ではそのスマホでの購入や予約を紐づけておいて欲しいと感じる。オーナーさんはそれに応える必要が出てきて、その業務効率化が本格的に求められていると思います。これは、STORES のプロダクトを通してオーナーさんの商いを見た時にも、自分がお客さんとして行動している時にも明らかに感じている変化です。実際に僕もスマホで買い物をしたりオンライン予約をしたりしています。
佐:本当にそうですよね。僕が感じるのは、商いを気軽に始められるようになったということ。個人で物を作って、それを専業にしていける世界がやってきたと感じます。物を売るだけでなく、体験やレッスンなどを売る場合も同じです。
さらに、それに紐づいてバーチャル空間でのオンラインレッスンや、決済手段の電子化などさまざまな変化が起きています。ここからは、変化したオーナーさんの商いのまわりの業務負荷をどう取り払うか、そしてその先どうオーナーさんのお商売をオーナーさんが目指したい形に加速・変革させていく支援をしていけるか、が僕らのプロダクトの価値になっていくのではないでしょうか。
※OMO(Online Merges with Offline)とは、インターネット上(オンライン)とリアル店舗(オフライン)を融合し、集客や購買行動を促す戦略のこと。
──そんな変化が起きているオーナーさんの商いに対して、これから STORES でやっていきたいことを教えてください。
藤:僕は、人間は人間にしかできないクリエイティブなことにできるだけ集中したほうが良いと思っています。例えばカヌレ屋さんをやっているなら、本当においしいカヌレを作ることに集中したほうがいい。STORES はその脇役として、商いの周囲の仕事をかんたんにできる道具になりたいと思います。当たり前のようにボタンをポンポンと押すようなUIで、データや必要な機能がきちんとつながっているような状態を作りたいですね。
佐:オーナーさんの課題を見極め提供する機能を選定し、オーナーさんをどうサポートするかが腕のみせどころですよね。僕らが自力で全て作る部分もあれば、オーナーさんがすでに使いこなしているものと組み合わせる部分もあっていい。それでオーナーさんの商いを楽にしていけるといいなと思います。
藤:その先として「オーナーさんがちゃんと儲かる」ことを、改めてこれからの STORES は目指していきたい。「STORES を使っていると事業が成長する」と言われるようになりたいですね。
写真:出川 光
取材:向原 茉莉江・出川 光
デザイン:呉 琳心
イラスト:石橋 講平
文:出川 光
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