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社会にとっていいプロダクトを作れるから。私がheyでPdMをやる理由

heyのリテール事業部門のプロダクトマネジメント本部でPdMを務める松栄 友希(まつばえ・ゆき)さん。キャリアの軸にしているもの、そしてこれからの仕事などについてお話を聞きました。

人の気持ちの動かし方を知りたくて

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──今日はこんな質問から始めてみたいと思います。小さい頃の夢は何でしたか?

実は私は幼い頃から持病があって、小さい頃は3ヶ月に一度はレントゲンを撮らなければいけない生活でした。小学校高学年から中学にあがるまではその治療のために見た目が明らかに他の人と違っていて。昨日まで友達だった子に無視されてしまったり、道を歩いていると振り返られることがあったり。ある時そういう悩みを相談できるソーシャルワーカーという仕事があると知って、それが小さい頃の夢でした。

──そんなご経験があったんですね。

そうなんです。さらに別の病気も発覚し、小学校高学年から大学一年生くらいまでは”不自由な青春”という感じでした。結局ソーシャルワーカーにはならなかったし、キャリアに直接影響を与えたわけではありませんが、人の心が動く仕組みに興味があるのは、このことからかもしれません。「親友ってどうやって作るんだろう?」とか「どうすれば人の気持ちがわかるだろう?」とずっと考えていたので、脳科学や、行動経済学、デザインなど、人の心を動かす仕組みに興味があったんです。

──それで、キャリアがデザインからスタートしているんですね。

そうですね。最初はデザイン、その後マーケティングにキャリアチェンジしていったのですが、人の心を動かすことが軸になっていたと思います。

負けず嫌いが生んだ成功

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──具体的には、これまでどんなお仕事をしてこられたのでしょうか。

デザイナーとマーケターを経た後にプロダクトマネージャーになり、転職サービスを作りました。当時の転職サービスは競合によりすでに独占されている状態でしたが、エンジニアの転職に特化することでその状態をひっくり返すことに成功しました。若い頃はこんな風に、みんなが「もうだめだ」と思っている時にそれをひっくり返すのが好きでしたね。負けず嫌いなんです。

──「若い頃は」と言うと、その後はまた違うのでしょうか?

その後、前職でのHRテックのサービスづくりを通して、人間や組織は短時間ではひっくり返せないものなのだということがわかりました。一発でひっくり返せるということは、その分浅いということでもある。何かをひっくり返すことで解決できる幅は小さいものだと思うようになりました。

経営者か、PdMか

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──前職では執行役員をやられていましたが、そこからPdMへのキャリアチェンジはどのような思いがあったのでしょうか。

今お話したHRテックの事業を会社として撤退することが決まり、円満に退社することになりました。その時次のキャリアとして考えたのは、まず、経営者的なポジションにつくルートです。会社を作るか、経営者的な立場の職種につくこと。そして、もうひとつがPdMに戻ることでした。

──全く違う選択肢ですね。どのようにキャリアを選んだのですか?

自分が、どちらが一番楽しくやれそうかを考えて選びました。この時、大学の時に徹夜で卒業する先輩の似顔絵を描いたことを思い出したんです。すごく大変でも、楽しくやれて、だからデザインを最初のキャリアに選んだ。それでは今自分が夢中になれるのは何だろうと考えてみると、やはりプロダクトづくりだということが見えてきたんです。

──なるほど。PdMの職種の中でも、heyを選んだのはなぜだったのでしょうか。

せっかく自分の時間を使って責任を負うならば、一点の曇りもなく社会にとって良いと思えるプロダクトに携わることがいいと思ったからです。また、会社と自分がプロダクトをどう考えているかが同じであることも大きな理由でした。

──どんなところからそう思ったのでしょう。

入社前にあやさん(塚原文奈さんのこと)、奈緒子さん(佐俣奈緒子さんのこと)とお会いしてお話をしました。そこで、長期的な価値に重きを置いていること、オーナーさんと本当に向き合い、彼らのことを憑依できるレベルでわかっていることからそう思いました。顧客に向き合って、その人達は何が喜びで、何を不安に感じていて、何がしんどいかがわかってはじめて芯を食ったプロダクトになるという私の考えとぴったり合うと感じたのです。

経営陣とのコミュニケーション

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──PdMをしている人の中には、経営陣とのコミュニケーションの仕方に悩む方も少なくないと思います。松栄さんが気をつけていることはありますか?

前職で、グループのトップに教わった教えが「チャンスがあるのに掴まない人は、やる気がないのと同じ」というものでした。これがその時から染み付いていて、今も大切にしている軸になっています。自分より前をいく人と積極的に交流することで成長できるチャンスが目の前にあって、勇気を出すだけでそれを掴めるならば掴んだほうがいい。私自身はそういうことが得意ではない方でしたが、大事なことを学ばせて頂いたので今でも実践しています。

──では、heyでも勇気を出してなにか実践していることが?

入社当時、代表の佐藤さんが「今度お茶でも」と言ってくれたんです。社交辞令だと受け取るべきものだったのかもしれませんが、私は「ではお茶お願いします!」と本当にお時間をいただきました。以来、月に一度壁打ちをさせてもらって、今では定例になっています。倉岡さんとは隔週で1on1がありますし、必要であればどんどんコミュニケーションをとっています。

──すごい。わかっていてもなかなかできることではないですよね。

会社の立ち上げをしていた時、あと何ヶ月生き延びられるか、という状況だったので悩んでいる時間がもったいないと思うようになったのかもしれません。それに、自分が経営の目線に立った時メンバーに対して、失敗してもいいし、うまくできなくてもいいけど、積極的にトライして前に進んで欲しいと思っていたんです。だから、どんなに的外れでも、ボコボコにされても、成長したほうがいいな、と。

──(比喩として)ボコボコにされることもあるんですね?

しょっちゅうですよ。人間、何が見えていて何が見えていないかは自分ではわからないものなんです。だから、自分より高い視点から見えている人に、ここが見えていないよと言ってもらえることで成長するのだと思います。ボコボコにされながら成長できているんです。


PdMとして、意思決定の背景や理由、解釈をちゃんと伝える

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──最後に、松栄さんがPdMとして目指していることを教えて下さい。

これまでの STORES は、トップのあやさんがプロダクトに強いのでプロダクトのWhy、What、Howのうち、Why、Whatまで決めていました。それは小さいスタートアップでは一定正しく、最善で最速でしたが、heyが大きくなろうとしている今、みんながWhy、Whatを考えられるようにならなければなりません。全員が目線をあげてWhy、Whatまで決めようとすることは大きな挑戦です。みんなが目線を上げるためには、情報をちゃんと渡して、それをどう解釈するかを丁寧にディスカッションすることが大切。私はPdMとして、「こう決めました」だけでなく、その背景、理由、ファクト、そして解釈を発信するのが役目だと思っています。それを続けていくことでみんなが持続的に学習できて、Why、Whatにまで考えることができるようになるはずです。

松栄さんのお気に入り:BAKE SHOP bien Bake
焼き立てを冷凍してお届けしてくれるのですが、どれもとてつもなく美味しいです!オーナーの坂下さんのTwitterも拝見していますが、働く人や生産者さん、作っているお菓子たちに対する考え方もすごく素敵で、大好きです。

(写真・文:出川 光)



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