社内規程をGitHubにお引越し。雑談から始まったheyの横断プロジェクト
社内規程、みなさんはどのくらいの頻度で目にしているでしょうか。社内規程といえば、Wordで作られたものが社内システムやドライブの奥深くに眠っていることもしばしば。heyで、「社内規程がGitHubで管理できるようになって、esaから閲覧できるようになった」というニュースを聞いて、その仕掛け人3人にお話を聞いてきました。お話を聞いたのはCTO室の小室 直さん(以下、小)、コーポレート部門の佐藤愛子さん(以下、佐)、セキュリティ本部の吉岡宏樹さん(以下、吉)です。
全く違う部署から集まった3人
──今日は、この3人で行ったプロジェクトがあるとのことで取材にきました。でもみなさん、全く違う仕事......ですよね?
佐:そうなんです。私が言い出しっぺで、heyでは法務を担当しています。社内規程は会社のルールを決める会社の法律のようなものです。管理するのも法務の仕事のひとつなので、私が他のおふたりを巻き込んだという感じ。
吉:僕はセキュリティ本部で働いています。heyのセキュリティを向上させたり、それに関するプロジェクトを進めるのが仕事です。
小:僕はエンジニアです。STORES の基盤部分の開発や、気になったところに参加しやすいCTO室という部署なので、今回のプロジェクトにもスムーズに参加できた、という感じですかね。
──すごい。もともとみなさんは一緒にプロジェクトをよくやっていたんですか?
佐:いえ、この3人では今回のプロジェクトが初めてでした。多分、リアルで会ったこともなかったんじゃないかな。
小:多分リアルでお会いしたのは今回が初めてですよ(笑)
佐:以前オフィスでちょっとお会いしましたよ(笑)、本当にちょっとですけど。
吉:リモートワークが主でほとんど会社に行かないから、会えること自体が珍しいんですよね。仕事での交流もなかった3人です。
ことのはじまりはSlackで
──さきほど、佐藤さんが言い出しっぺだというお話がありました。どんなふうにおふたりに声をかけたのですか?
佐:社内規程はたくさんのドキュメントの更新管理を行う、地味だけど大切な作業で関係者に結構な工数がかかります。常々もっと便利に管理できないかを模索していて、Slackで「こんなことやりたいな」という話をセキュリティの規程を大量に扱う吉岡さんとしていました。小室さんの前職で同じような取り組みをされていたのを知って、小室さんのtimesに「アイディアください」と聞きに行ったのかな。
吉:そうだった気がします。僕も前職で同じようなことをやっていたのですが、社内規程の版が変わっても記録がつくし、管理も楽でしたよという話を佐藤さんとしていた記憶があります。内心、小室さんに頼むしかないなと思っていましたが、Slackでやっていただけそうな空気が出てきたので、「これはいけるぞ」と。
小:ははは。Slackをふらふら彷徨っていたらそのやりとりを見かけたんですよね。それで話を聞いてみたら、社内規程が便利なところでいつでも参照できるのはいち社員としても嬉しいなと思ったんです。何より、担当者の佐藤さんが乗り気だったことにチャンスを感じました。こういうのって、裏側の面倒なことをやっている担当者が乗り気になってくれることが珍しいんですよ。なので、乗り気なうちに、やってしまいましょう、と決めました。その時は自分の仕事の範囲内なのかわからなかったんですけどね。
──そうなんですか!
小:僕はCTO室に在籍しているので、こういうあちこちの諸問題をよきにはからってほしいという期待があると考えていました。案の定、後になって報告したCTOの藤村さんには「いいじゃないですかー!」って言ってもらえました。社内規程の管理をいい感じにするなんて、やるコストと得られるメリットを考えたら絶対にやるべきプロジェクトですから。こういう目標外の業務は、短期で勢いよくやってしまうのがいいなと思っていました。
──ちなみに、難易度の見積もりはどうでしたか?
小:自分だったらさくっと作れるけれど、やりかたを把握できていないと難しいだろうな、という感じでした。作業時間としてはそんなにかからないかな、と。
佐:すごい、すごすぎる。
吉:小室さんがやっていただけることになって、内心「これなら大丈夫だ」って思っていましたよ。
できあがった社内規程
──実際にプロジェクトを行う段階に入ってからは、どのように進んだのでしょうか?
佐:こういうサイドタスクって、定期的に行わないと忘れてしまうので、定期のミーティングをセットしました。毎回のミーティングで宿題を持ち寄って、次の宿題を設定して、という感じで。ミーティングは全部で30分・4回ほど行いましたが、それぞれの役割が明らかだったので、その役割をまっとうすることを意識していました。私はどういう仕組みにしたいかを定義する役割。小室さんが、どう実現していくかを考えてくださった。吉岡さんは、法務とエンジニアリング両方がわかる立場でプロセスの監修、といった感じです。
吉:監修なんてそんな偉そうな役割じゃないですよ(笑)。作っていただいているのを見ていたという感じ。
小:こうやって役割がはっきりと分かれていたので、僕にとっても進めやすかったです。佐藤さんには社内規程の法務的な知識や判断を、吉岡さんには社内プロセスやワークフロー、コンピューター系の知識のスペシャリストとして、レビューをしてもらいながら進めました。
──つまづいたことなどはありませんでしたか? noteとしてはあったほうが盛り上がるんですが(笑)
佐:つまづいたところはありませんでした。Slackでチャンネルを作って、そこで「こうしたいです」「じゃあこうしよう」と一行、二行の会話をするだけで爆速でできあがっていってしまって、驚くばかりでした。
小:僕からすると、佐藤さんがこのプロジェクトについて上長に確認をとってきてくれるまでが早かったし、システムがざっくりできた後に社内規程を転記する仕事がとにかく早かった。
佐:私がこの爆速で進んでいるプロジェクトを止める人になるわけにはいかないと思ったんですよ。全部で70ドキュメントほどありましたが、これをマークダウン形式に書き換えました。
吉:佐藤さんがGitHubを触ったことがなかったので、つまづくかなと思っていたのですが、小室さんが書いてくれたGitHubの使い方のドキュメントがわかりやすかったので実現できたのだと思います。
小:「GitHubを使う」と腹が決まっていれば、非エンジニアの方でもできるだろうと、これまでの経験をもとに思っていました。それに、法務の方がプルリクエストを送るという経験は、佐藤さんのキャリアにもいいことだと思っていたので、遠慮なくお願いさせてもらいました。
heyだからできたスピード開発
──実際出来上がったあたらしい社内規程は、どのようなものなのでしょうか。
佐:社員のみなさんの視点では、esaで探すだけで社内規程が一覧で出てくるようになっています。検索機能で必要なものを探してもらえますし、スターやウォッチの機能を使って、自分に関係のあるものや大切なものを保存してもらえます。esaは、職種を問わずみなさんがよく使っているツールだったので、いつもの行動の中に社内規程を入れられたのが一番の収穫です。
小:他の視点では、社内規程がマークダウン形式になったことで、加工しやすくなりました。例えばこの間、社内規程を一括で提出するというタスクがあったのですが、これもスムーズにやることができた。
──かなり便利になりましたね。今回のプロジェクトの進め方を振り返って、どのように感じられていますか?
吉:こういうプロジェクトそのものは珍しいものではなく、前職でも何度か経験しました。けれど、ばらばらのところから人が集まるので、要件を集めてきたり小回りをきかせて進めるのに苦労することが多かった。今回はおふたりのお力のおかげでスピード感を持って進められたなと思います。僕にしてみれば「知らず知らずのうちにもうできてた」という感じで、このインタビューを受けるのも適切なのかな?と思うほど。
佐:コーポレートの立場では、何かを効率化したいと思ってもSaaSを使うくらいしかできないことが多いんです。今回はアドバイスしていただける人、相談に乗ってもらえる人を巻き込ませていただけたのがラッキーでした。こういうプロジェクトをきっかけに、このようなアイディアを実現する人が増えたら嬉しいですね。
小:そして、こういうことはSlackなどで大きな声で常に発信していることが大切だと思います。リモートワークでもSlackにお互い存在しているので、何か発信していれば視界に入ってくる。そこでできそうだなと思うことがあればやりたいなと思っています。
吉:やはり、最初は声をあげることですよね。そうしないと、誰も来ないですから。声をあげて、それがキーパーソンに届けば案外ものごとが解決したりする。それを信じて声をあげ続けるのが、プロジェクトを成功させる近道なのではないでしょうか。
(写真・文:出川 光)
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