キャリア22年のカスタマーエクスペリエンスのプロが、heyで叶えること
heyのオペレーションズ本部のシニアマネージャーを務める大貫竜平(おおぬき・りゅうへい)さん。キャリア20年以上にわたってカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を考えてきた大貫さんが、現在のお仕事やこれまでのキャリアなどを語っていただきました。
音楽を続けるために始めたコールセンターの仕事
──取材に先駆けて行った撮影、慣れていらっしゃって驚きました。音楽活動をやられているんですよね。
そうなんです。最近また音源をリリースしたんですよ。
──そうなんですか!おめでとうございます。ということは、キャリアも音楽活動から始まっているのですか?
実はそうなんです。大学在学中から本格的に音楽活動を始めて、卒業したタイミングではレコード屋さんでアルバイトをしながら音楽活動をするという生活をしていました。。けれど、だんだん生活やお金の面が苦しくなってきたんです。当時は、コールセンターでの派遣やアルバイトが新しい仕事として広がりつつある時期でした。なかでもお笑い芸人、劇団員、ミュージシャンなど、クリエイティブな仕事をしている人にとって、コールセンターの仕事はシフトの融通がきき、肉体労働ではない仕事として歓迎されていました。僕も例外ではなく、コールセンターで電話をとる仕事をはじめたのです。
──なるほど。確かに、本来の活動に支障をきたすことなく働けそうなイメージがあります。そこではずっと電話をとる業務を?
最初は電話対応を行っていましたが、次第にリーダーになり、次はスーパーバイザー、最後にはコールセンターの管理者へと業務が変わっていきました。
──どんどん出世されていますね。
バンド活動でもリハーサルの調整や楽曲のディレクション、ライブのスケジュール管理が僕の仕事だったので、もともとそういうことが得意だったんです。コールセンターでのマネジメントに、音楽活動で培ったスキルが役に立った感覚はあります。。
──この時、コールセンターの仕事にどんなやりがいを感じていましたか?
ユーザーさんの声を聞いてサービスを届けることがとても面白いなと感じていました。さまざまな企業からカスタマーサービスの業務を委託される会社だったので、いろいろな業界を体験することができたのも楽しかったです。通信、営業、流通、そしてITなど。業界は異なっていても、共通することも見つけました。顧客からの声が企業の価値を測るバロメーターになっていること。そして、そうした顧客に寄り添いながら企業がサービスを改善できるかどうかで、企業成長に差が生まれるという事でした。そこから、本格的にカスタマーサポートに興味を持つようになりました。
──その後、heyに入社するまではどのような変遷を辿ったのですか?
コールセンターの仕事だけでなく、マーケティング、プロモーション、セールスなどのさまざまな仕事を経験しなければ、自分が極めていきたいカスタマー・エクスペリエンスの領域は語れないなと考え、意を決して16年勤めたコールセンターの会社を退職しました。それからは、海外SaaSの会社でプロダクトマーケティングやパートナーアライアンスの経験を積んでいきました。そうやってカスタマー・エクスペリエンスに関する理解を深めていくうちに、身に付けてきたことを体系化する必要を感じて論文を執筆しました。この論文を情報処理学会というところで発表したところ、ワークショップやセミナーに呼ばれる機会が増えていきました。そんな流れのなかで自分の持つスキルと専門性にマッチする会社を探している時に、heyに出会いました。
プロダクトを磨くこととカスタマーサポートのハイブリッドがheyのスタイル
──heyに入社を決めるにあたって、大きな要素になったのは何だったのでしょうか。
heyが掲げる「デジタルの力で個人をエンパワメントする、スモールビジネスをエンパワメントすることで世界を変える」ことに共感しました。僕の実家は地方で文房具店を営んでいるのですが、アスクルさんや大塚商会さんなど大手企業と戦うことができませんでした。もしもビジネスが元気なタイミングでheyが提供するサービスやプロダクトがあったらと思うと、その意義を感じられずにはいられないのです。
──heyのカスタマーサポートの特徴はどんなところにあるのでしょうか?
IT系の企業は、問い合わせにかける工数をなるべく減らしたいと考える会社が多いものです。プロダクト開発にリソースをかけて、最低限の満足度を維持できればいいという考えですね。一方、heyはプロダクトも磨きながらサポートもカスタマーサクセスも充実させるというハイブリッドな考え方で、オーナーさんがお商売に集中できる環境を作ろうとしている点が特徴的でした。僕はこの精神が素晴らしいと思っています。
カスタマーサポートの窓口統合が課題
──大貫さんが入社されてから行っている仕事はどのようなものですか?
heyは3つの会社がひとつになった会社です。当然、プロダクトに紐づくバックオフィス業務も、サポート窓口もばらばらでした。それをひとつにまとめて、ひとつのオペーレションとして統合することが、最初にもらったミッションです。まず、業務プロセスを標準化していき、使っているシステムやオペレーションのマネジメントを統合していきました。この1年で統合はかなり進んできていると思いますが、まだ道半ばでもあります。サポートの現場におけるパフォーマンス管理のやり方や、VOC(Voice of Customer)データの分析手法なども統一できてきましたので、ここからは各チームがそれぞれ使っているシステムを統合したり、電話やチャット、メールといった顧客接点のチャネルのバラツキも統合していきたいと思っています。
──それによって、どんな状態を目指しているのでしょうか。
オーナーさんがどこに問い合わせをしても、受け付けた窓口で「まるっと解決」できる環境を目指しています。STORES 決済 の窓口に問い合わせたついでに STORES 予約 についての相談も一気通貫に解決できるといった状態です。
活気あふれる仙台拠点の存在感
──heyのカスタマーサポートの拠点は仙台にあります。カスタマーサポートを拡充する上で、仙台拠点の存在はどのようなものだったのでしょうか。
2019年に、STORES はテレビCMを放映しました。そのかいあってたくさんの反響をいただく一方で、それに耐えうるカスタマーサポートを作る必要がありました。短期間でハイクオリティのカスタマーサポートを作るには、カスタマーサポートの経験が豊かな方がたくさんいる仙台で拠点を立ち上げるのが最適でした。結果は大成功で、メンバーとして入社した方がリーダーになったり、何年もカスタマーサポートの経験を積んでいる方たちがすごいクオリティで仕事をしてくださっています。heyのカスタマーサポートの満足度が高いのは仙台に拠点を作ったからですし、heyが提供するサービスの要と言っても過言ではないでしょう。
──先日仙台オフィスで撮影をしたのですが、すごい活気と、みなさんの温かさに驚きました。
そうなんですよ。オフィスに入るとメンバーがオーナーさんと話している声がまず耳に入ってくる。そのどれもが誠実にオーナーさんをサポートしようという会話や、お礼の気持ちを伝える言葉なのがとても印象的なんです。直接オーナーさんと会話していることによる活気が溢れているって、いいですよね。
──その活気は、heyがVOCを重視してプロダクトを開発していることにも関係があるように思えます。役立てられるとわかっていれば、声を聞くのにも熱がこもりますよね。
そうですね。カスタマーサポートが受け取ったVOCデータは、分析した上でプロダクトの改善に直接役立てられています。heyは全てのポジションがオーナーさんの声を重視しているので、それを受け取ってくれるカスタマーサポートチームとの距離も近く、定例の報告会などを密に行っています。これが社外への業務委託ではなく、自社内にカスタマーサポートの体制を持つ利点ですし、カスタマーサポートを行うメンバーにとってもやりがいになっているのだと思います。
──最後に、これからの展望を教えてください。
先ほどお話ししたカスタマーサポートの窓口の統合を進めていき、オーナーさまからのお問い合わせを「まるっと解決」できる状態を目指したいと思います。また、この会社では、僕は年長者の部類に入ります。自分がこれまでのキャリアの中で参考にしてきたビジネスの考え方やマネジメントの経験を、若いメンバーのみなさんにどんどん伝えていきたいと思っています。
──ありがとうございます。そうだ、冒頭で、最近楽曲のリリースをされたとおっしゃっていたような。
そうなんです。6月15日に「In The Note For」がデジタル配信でリリースされました。先日、大作アルバムをリリースしたばかりのugazin氏が構築したEDMファンクなトラックに、自分がラップを乗せさせていただいた一曲です。音楽活動も行いながら仕事も楽しんでいきたいですね。
(写真・文:出川 光)
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