悩みながら変化を楽しむ。STORES ブランドアプリ のバックエンドエンジニアの仕事
STORES ブランドアプリ を開発する、CRM開発本部ではたらく西川輝さん。マネジャーの上杉隆史さんを聞き手に迎えインタビューをしてみると、ふだんの仕事の心がけから「はたらくこと」そのものに関する悩みまで、さまざまなお話が飛び出しました。チームの雰囲気や仕事の進め方、現在の頭の中まで、ざっくばらんにお話いただきました。
聞き手:上杉隆史
STORES の中でも特にスタートアップらしいチーム
──まずは自己紹介をお願いします。若くして活躍している気鋭のエンジニア、と取材メモに書かれていましたよ。
ありがとうございます(笑)。若くして入社したのは自分の売りだとは思っていなかったんですけどね。はたらきはじめたのが20歳くらいと少し早いんです。一社目はスタートアップで、その後 STORES に入社しました。現在はCRM事業部のバックエンドエンジニアとして、新しい機能を開発したり、新たに STORES ブランドアプリ を使ってくださるオーナーさん向けの開発をしたりしています。まだまだチームに人が少ないこともあり、最近ではインフラまわりのタスクを受け持つようになりました。他部署とも連携しながら「なんでもやる」スタイルで働いています。
──所属しているCRM開発本部の雰囲気を教えてください。って、僕も参加しているチームなのでちょっと照れくさいですが。どんなチームなのでしょうか?
仲が良いけれど、一定の距離感がある、自立したチームです。ひとりひとりがタスクを進めて、必要なポイントで集まって話すといったメリハリがついていて、STORES の中でも特にスタートアップらしいチームなのではないでしょうか。メンバーもスタートアップでの経験がある人が多く、勢いや粘り強さのある雰囲気もあります。
──どんなところでそう感じるのでしょうか?
みんなで集まって話す時間があまりとれなくても、各々がアウトプットをきちんと出すところや、タスクのスケジュールにもコミットする点です。例えば、スケジュールではどうすればスケジュール通りに進められるのかを工夫しながらやっています。なので、「スタートアップらしい」とは言いましたが、いわゆる“無限にはたらく”のではなく、常に工夫できる余地を探しながらはたらいています。
──チームではどんな話をしているんですか?
まず、仕事とプライベートのオンオフがはっきりしていて、それによって話す話題が異なります。オンの時には、どうすれば今ある仕事を上手く進められるかの相談や、「将来こんなことをやりたい」といった技術的な展望を話すことが多いですね。「こういう技術を利用したら解決できるのでは」「どうしたら開発生産性を上げられるだろうか」といった話が雑談から自然に出てきます。
オフの時は、お酒と筋肉と漫画の話ですね(笑)。「SPARTAN RACE(スパルタンレース)」という障害物レースに一部のメンバーで出場しているのですが、それにまつわる筋肉の話をよくしています。一方で急に哲学の話をする人もいるし、抽象的な話をすることもあります。この間は「素直さってなんだろう?」という話で盛り上がりました。
──熱いですね。
そうなんですよ。何気ない雑談からいきなり火がついて、急に盛り上がることがよくあります。
──チームの雰囲気が読者のみなさんにも伝わるのではないかと思います。西川さんから見て、今のチームを100点満点で評価するとしたら何点でしょうか?
うーん。伸びしろが多いにあると言う意味で、30点くらいでしょうか。
──ストイックなところが西川さんらしい。70点の伸びしろは、どんな部分ですか?
STORES を使ってくださるオーナーさんや、その先にいるユーザーの方が増えた時に耐えうるシステムにすることや、現在手動でやっている作業を自動化するなど、まだまだ変化の余地があると思います。
また、今のチームがうまく回っているのは少数精鋭だからこそ。今は気心知れた仲間でコミュニケーションコストがありませんが、これも今後人が増えてくると変化するはず。新しいメンバーを受け入れるための準備や、どんな人とはたらきたいかの解像度を高めるなども、まだまだ課題だと感じています。
──そういうことも、みんなでよく話しますよね。
そうですね。他のサービスを見て自分たちの機能について話したり、Slackの雑談チャンネルにそういうことが投稿されてスレッドが盛り上がることもあります。僕にとっては、これらの課題は前のチームでの反省を実現するチャンスでもあります。なので、課題についてチームで話せたり、実現できる機会があることにわくわくしています。
俯瞰の視点で、全体が前に進むはたらきを
──仕事をしていて、楽しいと感じるのはどんな時ですか?
事業がちゃんと伸びていると実感できる時です。事業が伸びるとは、僕らが作ったもので世の中に価値を提供できているということ。自らが作ったものがエンドユーザーの手にわたって、何かしらのポジティブな影響を与えているのって、プロダクト作りの醍醐味だと思います。
また、僕は変化しないものが嫌いなんです。人でも組織でも。それがプラスの方向であれ、マイナスの方向であれ、変化があることにテンションが上がる性格で。STORES での仕事は組織にも仕事にも常に変化があってとても楽しい。パフォーマンスが改善した、コストが下がった、作業が楽になった、といった変化が毎日の仕事に溢れていることが楽しいですね。
──なるほど、変化がポイントなんですね。最近起きた変化で印象的なものはありますか?
これまでは主にバックエンドの開発をしていたのですが、現在はインフラ周りの仕事が増えてきました。自分がはたらく領域が変化するのも、テンションが上がるポイントです。
──最近の仕事で「これはやり切った」というものはありますか?
開発に関わるさまざまなコストを減らしたことです。部門ごとにあったコスト削減の目標を達成しました。
──西川さんは、チームの中でも開発のリーダーシップを取ってくれていますよね。ご自身は、はたらく上でどういう人でありたいと思っていますか?
目立たなくていいけれど、一緒にはたらく人に「あいつとはたらいていると安心だな」と思われる人でありたいと思います。信頼を寄せられる人でありたい、というか。そのために誰もやっていない泥臭いことでも率先してやるようにしていますし、みんなが苦手なことをやろうと意識しています。
僕はどんなことでもまんべんなく60、70点を取れるタイプで、物事を俯瞰して見るのが得意。それを活かして、周りが気づいていないことを先回りしてやっておいたり、みんなのフォローを心がけています。
──例えばどんなことをやっているのでしょうか。
CS(カスタマーサポート)の方から寄せられる質問に率先して答えたり、コードレビューをできるだけ見るようにしたり。リリースまでのリードタイムを短くするために、自分が何をすれば良いのかを意識しています。個人的な好き嫌いではなく、全体で見るとどうすればスピードが上がるかを考えるようにしています。
──鳥の目と虫の目を使いこなしているところが、実に西川さんらしいですね。
周りを巻き込むこと、自分の見せ方を考えること
──西川さんはなんでもできて、超人のように見えることもあります。失敗の体験はあるのでしょうか。
難しいですね。仕事上のミスや障害を起こしてしまうなどの失敗はあるといえばありますが、訊かれている“失敗”はそういう類のものではないですよね。そうだな......。「正しいことをやれば評価されるとは限らない」ということでしょうか。
──というと?
例えば、客観的に見てもおそらく正しい改善案があったとして、それを周りに伝えても、理解されなければ実現することができない。ただ正しい方に突き進めばいいのではなく、ある程度以上の規模の組織では周りを巻き込む必要があるということに気づきました。失敗というよりも、自身の課題に近いかもしれません。今は、どうやったら周りを巻き込めるのかに、向き合っているところです。
──なるほど。“正論パンチ”では、成し遂げられないことって、ありますよね。どうやってそれを乗り越えようとしていますか?
僕の認知とみんなの気持ちや現状が乖離しているのではないかということに気づきました。見えないところに何かやれない理由があるとか、そもそもみんなと物事の捉え方が違うとか。その乖離を探してなくすことで解決できるのではないかと考えています。上杉さんなら、どうしますか?
──見えないものがある理由は、認知の外側にそれがあるからなんじゃないかな。なので、認知の外側の形を探すために、考え抜いたり、話し合ったりするしかない。見えないなりの輪郭をつかむ、というか。
なるほど。最近は、人と話しながら自分の知らない領域に想いを馳せるようになりました。
──多様な観点を手に入れれば、問題の輪郭をつかむことができそうですよね。今の話もそうですが、西川さんって常に考えていますよね。
そうですね。その時に考えているトピックが常にひとつ、ふたつあって、解決したら次のことを考える、という癖があります。
──最近考えているのはどんなことですか。
目立つ必要があるかどうか、を最近考えています。これまで、自分の見せ方を考えたり目立ったりすることに興味がありませんでしたし、嫌だなと思うこともありました。目立たないけれど実はすごい方が格好いいような気がして。けれど、それだけだと仕事に支障があるなとも思い始めて。例えば先ほどの「周りを巻き込む」にしても、何をやっているかわからない人が主張しても、周りは受け止めづらいじゃないですか。そうすると、やっていることや考えていることをアピールしなければならないのではないかと思うけれど、やっぱり苦手で。
──その気持ち、よくわかります。「実力で評価されたい」ということですよね。確かに、今の僕らのチームやエンジニアとしては、自分を実力以上に見せるのはよくない。一方で、持っている力を相応に発揮してアピールするのは悪いことではないと思います。マネジャーの立場からすれば、それぞれのメンバーの力をできるだけ見て、マッチした人にチャレンジを与えたい。マネジャーだけでなく、まわりのメンバーにできることや考えを共有することは、全体のパフォーマンスの良さにつながるのではないでしょうか。
なるほど。確かに普段から考えていることや課題だと思っていることを伝えておくのは効率的ですね。上杉さんは、チームに冗談っぽく弱いところを開示するのも得意ですよね。
──自分のだめなところを見せた上で、いいところも見せれば、全部を見せているということになりますから。そうすれば自慢ばかりしている感じにならないから自然とそうしているのかもしれません。わからないことやできないことを伝えるのも、強さの一つなのだと思います。
構想していた未来を実現できる段階になってきた
──読んでいる人に今の STORES やチームの良さを伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
事業部の連携が増えてきて、いちエンジニアとして開発しがいがあると感じます。複数のプロダクトが連携することで、それぞれのプロダクトができた時に構想していた未来が実現できる段階になってきたのが、今の STORES で開発する面白さなのではないでしょうか。
──舗装されていない道路を舗装していくような面白さがあると思います。特に、STORES ブランドアプリ は、まだまだやれていないことがたくさんありますからね。西川さんがこれからやりたいことを最後に聞いて、このインタビューを締めくくりたいと思います。
変化しつづけること。そして、さらに大きく、抽象度の高い仕事をしたいです。今はどちらかというと、課題が明確で、それをどう解くかという仕事が多かったのですが、これからはその課題から設定することにチャレンジしたいです。未来のことは読めないので、まずはそれを目指していきたいと思います。
(写真・文:出川 光)
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