ツールの足し算じゃない。商いのあり方をも変える「掛け算」の価値
5周年を迎えた STORES 株式会社。 STORES の経営陣はこれまでの5年間をどう振り返り、今どんな未来を描いているのでしょうか。第二弾のインタビューは井出優太と倉岡寛による対談。STORES の事業とプロダクトに向き合ってきたお二人が考える、STORES が提供する新たな価値とは。
次々に事業が増えた5年間。見えてきた価値とマインドの変化
──まずは5周年を迎えてのお気持ちを聞いてみたいと思います。
倉:あっという間でしたね。僕は STORES 予約 の前身である Coubicの代表として STORES に二年半前に仲間入りしたのですが、それがついこの間のことのようです。5周年を迎える STORES で、その半分の時間を過ごしているのが信じられない。「もう古株!?」 という気分です。
井:僕も早かったなと感じます。同時に、いつの間にか色々な会社が仲間入りして、組織の大きさがかなり変化したことに驚きを感じてもいます。STORES に入社する前はメンバーが5人の会社で働いていたので、採用や他の会社の仲間入りを経て、組織が大きくなっていくのを楽しんだ5年間でした。
──倉岡さんは、ご自身の会社が仲間入りした視点で、当時の期待をどう振り返っていますか?
倉:STORES に仲間入りする前から、僕らが提供しているオンライン予約はオーナーさんの商いに必要なツールのごく一部だということは分かっていました。オンライン予約を提供するならばネットショップなどのデジタルツールが切っても切れない存在だと感じていましたし、オーナーさんがさまざまなツールを併用していることもわかっていました。
STORES の代表の佐藤さんと話してみると、彼もまた同じことを考えていた。僕らが持っているツールをつなげればオーナーさんが持っている商いの課題をまるっと解決できる。そんな期待をして STORES に仲間入りしたのです。
そうして STORES のプロダクトが次々に増えていきましたが、当初はまだツール同士が足し合わされた「足し算」の価値しか提供できていなかったのが正直なところです。最近になって、単なるツールが増えるのではない、「掛け算」の価値が生まれる実感が湧いてきました。井出さんはこの5年でのマインドの変化はありましたか?
井:それまでは「自分でやったほうが早い」と考えていたデザインやプロダクトマネジメントなどの仕事を、どうやって依頼したり、フィードバックしたりすれば、自分がやる以上のクオリティを生み出せるかが少しずつわかるようになってきました。最初は全然うまく言語化できなくて「このあたりが気になる」「この部分がもやもやする」といった伝え方だったのがクリアになってきました。
倉:役職がついたことの変化もあるのかもしれないですね。
井:個社時代からの切り分けで事業組織が作られているのもあり、その狭間で誰がここ決める?みたいなボールを明確に決めていいよ、となったのはコミュニケーションしやすくなりましたね。反面、自由に言いたいこと言えてたある種の気楽さがなくなったのは寂しいです。
倉:それも5年間で起きた変化のひとつかもしれないですね。
オーナーさんがオムニチャネルにストレスなく取り組めること
──さきほど倉岡さんから、STORES のプロダクトが統合され「掛け算」の価値が生まれるというお話がありました。単にツールが増えるだけではない価値とは、どのようなものなのでしょうか。
倉:いわゆるオムニチャネルと呼ばれる、オンラインとオフラインを跨いで包括的に顧客にアプローチする取り組みは、すでに大手企業が莫大な予算をかけておこなっていることです。資本力のある企業はそれができますが、僕らがプロダクトをとどけるオーナーさんは、別々のツールをいくつも組み合わせたりしながらそのやり方を模索している。ツールがバラバラだと何か問題が生じればツールごとの調整が必要なうえ、手間もかかります。それが STORES のプロダクトが統合されることで、同じUI、UXのプロダクトでワンストップでおこなえるようになり、顧客情報を共有することも、そのうえでさまざまな施策を打つこともできるんです。
井:いち消費者としても、僕らはすでにオムニチャネルの恩恵を受けていますよね。会社の近くにあるコーヒー屋さんは、モバイルアプリを運用していて、店舗でもオンラインでもオーダーを受け付けている。僕は好きな時にアプリからオンラインで注文できて、並ばずに好きなタイミングでコーヒーを受け取るだけでいい。来店記録と紐づいて割引まで受けられる。新商品に気づけたり、ポイントを貯めたりできて、近くて楽だともう他のコーヒー屋さんに行く選択肢がなくなってしまうくらい便利なんです。
倉:そういう体験をオーナーさんがストレスなく提供できる価値は、とても大きいんですよね。
まだ解き切れていない課題がある。STORES の現在地
──STORES のプロダクトが統合されて、どんな価値を生み出せるのかが少しずつわかってきました。その価値を提供するにあたって、現在の STORES はどの地点にいるのでしょうか?
倉:大企業が数千万円、場合によっては億単位の予算をかけるオムニチャネル施策を、まるっとお手頃な価格でオーナーさんに提供していくことが大きな価値であるのは明らかです。一方で、ある程度の規模のブランドやお店でも、例えばネットショップとリアル店舗の顧客情報や在庫状況、売上状況をどう統合すればいいかわからず、個別に管理しているといった課題がまだまだあります。ある程度の規模のブランドやお店でも、例えばネットショップとリアル店舗の顧客情報をどう統合すればいいかわからないといった課題がまだまだあります。
そんなオーナーさんに単なるツールだけでなく、オムニチャネルの知見もあわせて提供し、一緒にあたらしい商いのあり方を開拓できるのはとてもやりがいのあることです。今はその開拓のスタート地点にいるのではないでしょうか。
井:特に我々のようなイネイブラーの中では、まだ誰も「オムニチャネル」を解き切れていないということなんでしょうね。僕が STORES レジ を作ったときに、すでにPOSシステムとCRMをオンライン・オフライン連携させることが大事だということはなんとなくわかっていました。けれど、それが実際にどうオーナーさんに使われているかを見て、具体的な価値を感じ始められたのは最近のことです。ただ「レジとネットショップが連携しています」「レジとブランドアプリがつながります」だけではなく、顧客情報をどう連携するか、オーナーさんのお客さまに良い体験を届けるにはどうしたらいいかを考えていく必要がありますよね。実際にオーナーさんが利益をあげられるような打ち手を編み出せるような。
倉:この1、2年でその土台を作っていき、そこからさまざまな価値を提供していくイメージです。また、STORES の事業目線でも、このプロダクトの統合はとても重要です。
僕が最近注目しているのは、CRMに関わる機能です。オーナーさんにとって、オンラインとオフラインの顧客情報を統合して扱うニーズがあることは確実です。STORES ブランドアプリ で提供されているCRMに関わる機能を我々の他のプロダクトと連携させていくことで新たに生まれる価値は大きいはずです。
プロダクトを横断しながら磨き込む。STORES の次のステージ
──これからの STORES について、お二人はどんな未来を描いているでしょうか?これからの STORES でどんなことが起きていくのか知りたいです。
井:STORES のプロダクトが統合されることで、データを連携・統合したり、複数の業態業種の方に向けた機能開発が増える。つまり、ネットショップや予約など、単体事業に紐付いた開発チームではなく、横断的なものが増えていきます。
それと同時に、オーナーさんの商売ごとにどうやって STORES のプロダクトの機能を組み合わせるとより良いのかを深堀りしていくチームができていくはずです。僕はこれをいまは「レシピ」と呼んでいたりします。美容、フィットネス、飲食、アパレルなど、それぞれの商いに合った使い方を磨き込んでいくような。
このバランスが、これからの STORES の面白いところだと思います。時期によって柔軟に組織を横断したり、行き来したりしながら様々な商いに向き合えますし、「この業界をどうにかしたい!」というような業界のキーマンが STORES に入ってくれたら、新たな気付きがあるかもしれない。
倉:その先にオーナーさんが好きなこと、楽しいことによりフォーカスできる未来が待っているのが理想です。商いの他のめんどくさいことは全部 STORES におまかせ、という感じで。
井:デジタルツールを使いこなすのがもはや当たり前になった消費者から求められることに、オーナーさんが苦労なく対応できるようになったらいいですよね。そうしたら、いち消費者としての僕らの暮らしもたのしいものになりそう。
倉:STORES のプロダクトを通じて実現していこうとしている未来を考えると、とてもワクワクしますね。
写真:出川 光
取材:向原 茉莉江・出川 光
デザイン:呉 琳心
イラスト:石橋 講平
文:出川 光
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