業務改革で月421時間を削減!問い合わせ対応の自動化に挑むカスタマーグロース部門
カスタマーグロース部門グロース本部のシニアマネジャーを努める高橋尚之さん。入社当時は STORES の仙台オフィスの立ち上げを担い、カスタマーサポートやオペレーション構築の経験を活かしてカスタマーグロース部門を牽引しています。そのカスタマーグロース部門のビジョンは「あたりまえを、あたらしく」。業務改革による工数削減や問い合わせの適切な自動化、そして新プランのリリースプロジェクト。事業者さまへの提供価値の「あたりまえ」を、どんな挑戦により「あたらしく」しているのでしょうか。
カスタマーサポートとオペレーション構築の経験で仙台拠点を立ち上げ
── STORES noteへのご登場は初めてですね。まずは、これまでのキャリアや STORES への入社のきっかけを教えてください。
前職ではBPOの大手企業でコンタクトセンターの運営を担い、カスタマーサポートのオペレーション構築をしていました。当時の同僚が STORES 決済 の前身である Coiney に勤めていたことで STORES を知り、東京オフィスで社外向けの説明会に参加しました。そこで働いている人の雰囲気や、金融領域のインフラになろうとする事業内容に魅力を感じ、入社に興味を持ちました。
当時、仙台オフィスはまだなく、立ち上げの企画段階でした。この構想を知った時、「拠点の立ち上げに関われるのは今だけだ」と入社を決意しました。
──入社してからは仙台オフィスの立ち上げを行ったのでしょうか?
主なミッションはカスタマーサポートのマネジャーでした。カスタマーサポートは仙台オフィスを拠点にするので、自ずと拠点立ち上げを任される形になりました。入社した時点で物件や内装の手はずは整っていたので、私は拠点のカルチャーづくりや、入社してくれるメンバーを迎える仕事を行い STORES の仙台オフィスらしさを作っていきました。
──拠点の立ち上げでは、どのようなことを大切にしましたか。
拠点としての一体感をつくることです。組織を拡大するフェーズは、その拠点のカルチャーを作り、みんなの気持ちをひとつにまとめることが大切です。東京オフィスのマネジャーの方と連携しながらその醸成に心を砕きました。
私にとっては、仙台オフィスと東京オフィスとの橋渡し役になれたことが大きな収穫でした。仙台に来る時にはまず声をかけてもらえるため、部署を超えてさまざまなメンバーと関係性を構築することができ、その後の業務をスムーズに薦められるようになったと振り返っています。
月421時間の工数を削減した業務改革。
提供価値の「あたりまえ」をアップデートすること
──現在のお仕事について教えてください。高橋さんがシニアマネジャーを務めるカスタマーグロース部門のグロース本部はどのようなことを行うのでしょうか。
カスタマーグロース部門のグロース本部には、中小事業者さまを対象とするインサイドセールスグループと、事業者さまのサポートを企画、運用するグロースサポートAグループ、グロースサポートBグループがあります。
グロースサポートの各グループはプロダクトごとに複数のプロダクトをサポートするクロスサポートのチームがあり、事業者さまからのお問い合わせに対応するだけでなく、カスタマーサポートの自動化やツール選定なども行っているのが特徴です。部門全体で約50名のメンバーが所属し、仙台オフィスに7割、東京オフィスの3割のメンバーが在籍しています。
──今回の取材でお伺いしたい大きなトピックに、カスタマーグロース部門の業務改革があります。どのようなことを行ったのでしょうか。
2024年にカスタマーグロース部門が新設された時、「あたりまえを、あたらしく」という組織ビジョンを設定しました。これは、事業者さまに提供する価値の「あたりまえ」の水準をあげていきたいという意味を込めて作ったビジョンです。その実現のためには、私たちの業務を見直す必要があるのではないかと考えました。
そこで当時行なっていた業務を棚卸しし、各業務の重要性を見直し、改善や効率化の余地がある業務をいくつか特定しました。それぞれの業務を見直した時のインパクトを各チームで検証し、インサイドセールス、カスタマーサポート共に必要性を再評価しました。それによりできた時間を使って“新たなチャレンジ”を行える状態を作り出しました。
──具体的にどのくらいの業務を削減できたのでしょうか。
削減した業務の数は30個です。一ヶ月あたり421時間の工数を削減することができました。これは全体の業務の1割程度を占めるボリュームです。
業務改革で確保したリソースで進めた“適切な”自動化。
顧客体験を損なわないAIや自動化導入の秘訣
──この削減により行なった“新たなチャレンジ”とは、どのようなことですか?
事業者さまが自己解決できた指標である、セルフサポート比率を上げるための仕組みづくりを行いました。チャットボットを複数のプロダクトに導入、メールの自動返信や音声ソリューションも導入しました。これによりセルフサポート比率は昨年対比で10%以上上昇しました。
──自動化を行うにあたって、どのようなことを工夫しましたか?
問い合わせの自動化やチャットボットなどのAI活用は、企業目線ではメリットがあっても、プロダクトを使うユーザーの満足度が下がってしまうことは珍しくありません。事業者さまの体験を損なわないよう、自動化すべきポイントと、むしろ積極的に人がサポートすべきポイントの切り分けを丁寧に設計しました。例えば、機能の説明などはチャットボットに、契約内容などお金にまつわることは人に問い合わるといったように、事業者さま視点での設計を心がけました。問い合わせ対応を行なっているメンバーの感覚を細かに反映することで、精緻な切り分けをすることができました。
──実際に自動化やチャットボットの導入を行なってみて、事業者さまの反応はいかがですか?
良い結果が出ていると思います。電話で問い合わせのある事業者さまの満足度は、自動化を行ったばかりのタイミングでは一時的に上昇し、その後セルフサポート比率の上昇に反比例するようにゆるやかに下降しています。これは自動化領域が拡張することで、相対的に人に寄せられる問い合わせの内容がより難しくなっているからだと考えており、想定通りの結果です。
──業務改革によりただ工数を削減するだけでなく、大きな挑戦による収穫を得られたのですね。この業務改革とシステムの一部自動化をどう振り返っていますか。
事業者さまに提供する価値を上げられただけでなく、メンバーにとっては新たなチャレンジをする良い機会になったと感じています。カスタマーサポートの自動化には、ともすると自分たちの仕事がテクノロジーにより置き換えられてしまうのではないかという不安を感じるメンバーもいたと想像します。
しかし、実際にはセルフサポートの向上により生まれた工数から、クロスセルやアップセルの推進といった、役割を拡張するような大きなチャレンジにつながっており、仕事のやりがいや自信につながったのではないでしょうか。
カスタマーグロース部門の知見が詰まった中小支援プラン。
GTMを担当したこのプランで目指すコンパウンドの推進
──先日リリースされた「中小支援プラン」ではクレジットカード決済手数料率を業界最安水準の1.98%に引き下げ、店舗の負担を大幅に軽減することが話題になりました。このプロジェクトで高橋さんはGTM(Go To Market)を担ったとか。プロジェクトはどのようなものだったのでしょうか。
中小支援プランは、これまで中小企業の事業者さまに向き合ってきたカスタマーグロース部門にとって、大きな意味を持つプランです。店舗運営にとって欠かすことのできない「お会計」において、決済手数料が業界最安なうえに、決済端末も無償提供(故障時も無償交換)し、さらに STORES レジ の有料プランも内包されていることで、 STORES を選んでいただく決め手になるはず。なんとしても成功させたいプロジェクトでした。
プロジェクトのキックオフからジョインし、これまでの経験からつかんだ事業者さま像を活かしてサービスやオペレーションの設計、キャンペーンの企画、獲得計画の立案、オンボーディングやサポート体制の構築、クロスセル施策の推進などを担当しました。
──特に工夫したのはどのような点ですか。
部門を横断した全社ビジネス組織との連携です。多くの関係者がいる横串のプロジェクトだったので、プロジェクトの最新情報や、営業上の注意点を整理し情報共有を定例やSlackで細めに行いました。カスタマグロース部門以外の方達には個別の説明会を行い、懸念や疑問をすぐに聞いていただける環境づくりを心がけました。
これにより無事にプランのリリースにこぎつけ STORES 決済 をきっかけに STORES レジ のことも知っていただく間口を広げることができました。また、事業者さまにとっては複数の STORES のプロダクトの情報を連携させることで顧客への解像度を上げ、ファンを獲得する施策を行ったり、他の STORES のプロダクトをさらに導入しより深い顧客情報を利用したりする入り口にもなるはずです。 STORES が目指すコンパウンドスタートアップの起点になる、重要なプロジェクトに関わることができた経験でした。
──これから、カスタマーグロース部門で目指すことを教えてください。
“失敗するイメージ”を持てるようなトライがどんどん生まれる組織を作りたいです。事業者さまに近い役割のカスタマーグロース部門において、事業者さまに役立つさまざまな取り組みやアイデアが現場主導でどんどん実行され、オペレーションが洗練されていく。それが STORES にとっての競争優位性となると信じています。
そして個人としては、自分の役割を限定せずに新たなチャレンジを続けたいと思っています。もともとカスタマーサポート出身の私が、今シニアマネジャーとして時にはGTMを担うのは、なかなか面白いキャリアだと思います。求められることや向き合うべきことに全力で応えることで、新しいチャレンジを積極的にしていきたいです。
写真・文:出川 光
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