ゴールまでのプロセスもまるごと愛する。シニアマネジャーとして STORES のテクノロジー部門ではたらくこと
STORES ブランドアプリ を開発するCRM開発本部でシニアマネジャーをつとめる上杉隆史さん。これまでさまざまな場所でエンジニアリングを行ってきました。あっという間にチームをまとめ上げ、エンジニアリング以外の勉強をしながら音楽活動も行う。そのエネルギーの源は何なのでしょうか。これまでのキャリアや仕事観など、さまざまなお話を聞きました。
STORES は夢の続きができる場所
──今日はお話しできるのを楽しみにしていました。まずは、今のお仕事を教えてください。
テクノロジー部門CRM開発本部で、 STORES ブランドアプリ の開発をしています。役割はシニアマネジャーで、僕を含め8名のチームで働いています。シニアマネジャーの仕事は、予算編成や部署を超えたコミュニケーションなど多岐に渡ります。メンバーが少なかった時には自らコードを書いていましたが、現在ではロードマップの立案や採用などの仕事が多くなりました。
──これまでのキャリアはどんなものだったのでしょう。マネジャーを務められていたこともあったのでしょうか。
バックエンドエンジニアとしてキャリアをスタートし、インフラやバックエンドの開発をしてきました。最初のキャリアは印刷会社のインフラづくり。各種サーバ構築が主な仕事でしたが、幸運にもプログラミングができたので、Webアプリケーションの開発の案件を勝手に受注してきて制作するようになりました。その後はエンジニアとしていくつかの会社を経て、フリマアプリを手掛けるスタートアップに入社、その会社の規模拡大と共にマネジャーに就任しました。
──もともとマネジメントに興味があったのですか?
興味なかったですね。むしろ開発の仕事しかやりたくなかったと言うべきかもしれません。しかしスタートアップ初期からの参画であることや、創業者よりも年上であったこともあって任用されたんじゃないでしょうか。「頼ってもらえるなら頑張ろう」という気持ちでした。自分の性格が、「やりたいことだけを突き詰めたい」というよりは、「みんなとはたらくのが好き」ということに気づいたのも引き受けた理由のひとつです。チームのみんなのために何ができるかを考えて、それがマネジャーになることならばやろう、と。
──STORES に入社したのはどうしてだったのでしょう。
手がけていたフリマアプリが大きな企業に買収され、志なかばだったという感覚がありました。大きな競合と同じスピードで会社を大きくできなかったことに反省もしていました。
買収した側の会社で続けて働きながら、マルチプロダクトを手がける一万人規模の会社がどうのように事業を運営しているのか、どういう仕事の仕方をしているのか、300人くらいの規模からさらに会社を大きくする時、どんな工夫がが必要なのかを学ばせてもらいました。
STORES のことは以前から知っていました。転職する当時 STORES は、いいプロダクトを作りながら会社を大きくしていて、規模がちょうど元いた当時のそのスタートアップと同じくらいになろうとするところでした。偶然にも、オフィスの場所も同じ恵比寿で。ここでならあの時の続きができるなと思ったのです。
──もう一度チャレンジする場所だったんですね。
そうなんです。現在、当時の仲間が何人か STORES で一緒に働いているのですが、「あの時の続きをやろう」と言って誘いました。もちろんそれだけではなく、STORES のプロダクトの品質や経営陣の考え方や知識、スキルが高いことも入社を決める大きな理由になりました。
──他にも STORES に入社した理由がありますか?
転職期間中にさまざまなサービス、規模感の経営者の方々とお話しする機会をいただきました。その中でも STORES の経営陣は本当に魅力的な方々でした。僕も多様なサイズの企業を経験して、わかったような気持ちになっていましたが、 STORES の経営陣は経験豊富な方々で、「これは勉強になるな」と。代表の佐藤さんやCTOの藤村さんが持っている価値観や、考えていることに共感でき、ここではたらこう、ここで学ばせてもらおうと決めました。
──上杉さんにお話を聞くのなら、音楽の話も聞いておかないと。バンドはいつからやっているんですか?
大学生の時から、全てのキャリアと並行して続けてきました。かけている時間は仕事の方が多いですが、この二つを両立させて初めて、両方に全力投球することができるんです。前職を離れてしばらく無職の期間があったのですが、仕事がない間は、結局音楽の方も進まなかったりして。
──なるほど。仕事と音楽で、互いに影響を与えることもあるのでしょうか?
あると思います。音楽をやっているとさまざまな人に出会うんです。例えばライブハウスではこの業界だけにいたら出会えない、他の業種の方と出会えます。こういう出会いがプロダクトを開発する時のユーザー目線を支えているんじゃないかなと思っています。会話の中で、うっかり専門用語を使っちゃうことってよくあると思うんですよね。例えばエンジニアだと、 クエリ、複雑性、隠蔽化、UI/UXなどなど。専門用語は専門家同士では便利なんですが、専門性が違う方にはうまく伝わらないですよね。生活圏や専門性によって知っていることと知らないことって個別違うし、僕も知らないことがいっぱいある。「違い」を認識できていることは、大きなメリットになってると思います。そういうことってよくありますよね。
──ありますね。もう少し音楽の話も聞きたいところなんですが......。
それじゃバンドインタビューになっちゃいますよ(笑)
何をやりたいかより、
何をすればみんなが幸せにはたらけるか
──実際に STORES に入社されてみて、いかがでしたか?
当時の STORES は今よりも過渡期で、伸びしろが大きいと思いました。評価制度や、予算の管理など、最初の一年はずっと何かを整えていたんじゃないかな。
多くのエンジニアにとって予算管理などのお金まわりのことはあまり気が進まない仕事だと思いますが、開発部門はインフラなど多くの予算を使う部署でもあります。予算をきちんと管理することで新しいツールを導入できてみんなが楽しく開発できるのであれば、それはオーナーさんに価値を届ける結果になると思うんですよね。
必要であれば、進んでなんでもするのが僕の仕事だと思っています。専門家には劣りますが、必要な事業運営のための知識、例えば管理会計みたいな知識は、決して速くはないけれど身につけてきたつもりです。多様な知識は社内の他職種の方への尊敬につながりますし、体系化された先人の知恵って学んでいて本当に面白い。軸足はエンジニアに置きながら、もう一本の足を汎用的なスキルにできるようにしています。
──会計の知識まで。かなり難易度が高そうです。
開発組織の予算編成を、毎年社内のバックオフィスの方々と調整しながら行っています。知らないこと、苦手なことに向き合う努力が必要ですが、これをやることでオーナーさんや同僚のみんなが幸せな状態になることの方が僕にとって大切なんです。なんでもやっちゃう『ファイナルファンタジー』の「赤魔術師」のような感じ。
技術を広く捉えると、エンジニアリングの技術だけが技術ではないなと思っています。例えば、財務諸表とかって先人が編み出した管理のための技術だと思っています。いかにエンジニアリングの技術を事業運営に応用し、オーナーさんの成果に繋げるか。その間にある知識を大事にしたい。
リモートワークの壁を乗り越えて決めた
「テックマニフェスト」
──これまでの仕事の中で印象的なものを挙げるとしたら、何でしょうか?
STORES のテクノロジー部門のカルチャーの明文化を目指してテックマニフェストを作ったことです。通常時であれば顔を合わせてワークショップや話し合いを行えますが、当時はコロナ禍のまっただなかでした。
僕は大事なことは顔を合わせてやりたいタイプなので、当時はリモートワークが苦手で、オンライン環境でコミュニケーションをしても糠に釘という感じでピンときていませんでした。テクノロジー部門全員が参加する、グループワークをオンラインで本当に実行できるのか半信半疑だったところを、PXの皆さんが一緒にルール設計やオンラインでのグループワークのやり方を考えてくれて、当日の進行をお任せすることで成し遂げることができたんです。
当日の進行を行っていただいたおかげで僕は運営に専念することができましたし、STORES に入って初めて他の部署と協力しながら何かを成し遂げることができてとてもいい経験になりました。テクノロジー部門だけでやろうとしていたら、絶対に不可能だったと思います。
──他の部署との関わりを経て、STORES はどんな会社だと感じていますか?
いい点を挙げるなら、相手を慮ることができるいい人が多い会社だと思います。みんな人付き合いのインターフェイスが良くて、心地よい会話ができるし、おかげで色々なことがやりやすいと感じます。裏を返せば、ズバっとしたストレートな意見が出にくいかもしれませんね。
──「ズバっと」とは?
自分の意見を結論から話すことだと思います。率直な主張は、誰かと意見が違うこともあるので勇気がいります。でも意見のコントラストは、議論の焦点を明確にしてくれますよね。何かをやり遂げるためには、意見の違いを意識して、より良い結論にできる限り早くたどり着けると良いな思ってます。
みんなのストレートな意見や本音をどのように引き出すかは、僕のマネジャーとしての課題かもしれません。STORES はオーナーさんや、その先のお客さんのためにこれまで以上に事業のスピードを上げていく必要があります。一方で、お仕事を楽しく快適に進めるのも大事。楽しいお話をしている時と、何かを決めるための議論の時間にメリハリをつけることで、成果に向き合いつつも、楽しい時間を過ごしたいですね。
仕事と音楽と「生活を愛する」。
──最後に、これからのことを教えてください。仕事でも音楽でも、これからやりたいことはありますか?
ゴールのことよりも、そのプロセスや行動自体を楽しみたいと思っています。「生活を愛する」と僕は呼んでいるんですけど。例えば、登山って頂上の景色やその達成感だけを楽しむものじゃないですよね。僕は一歩一歩踏みしめている時間も楽しみたいなって思っています。仕事や音楽も同じです。オーナーさんの役にたつプロダクトを作り続けたい。そして、そのゴールまでの毎日も楽しみたい。音楽も同じです。ゴールに辿り着くことだけを楽しむのではなくて、その過程も楽しければ、それが一番幸せだと思うんです。
そのためには、なんでも手を抜かず一生懸命にやること。1日の仕事をする時間は全力で頑張る。そうすると仕事以外の自分がやりたいことも頑張れる。その先にゴールが待っているのが、一番幸せなんじゃないでしょうか。
(写真・文:出川 光)
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