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コミュニケーションの齟齬を想像力で埋める。垣根を超えた開発で目指す STORES のプラットフォームの実現

STORES のテクノロジー部門、リテール開発本部で、STORES ネットショップ や STORES レジ に関わるさまざまな開発を手掛ける山下隼人さん。社内では1000日を超える「リングフィット アドベンチャー」ユーザーとしても有名です。その継続力や努力、そして相手への想像力が実を結んだこれまでの開発について、お話を聞きました。

PROFILE
山下 隼人さん・・・テクノロジー部門リテール開発本部

2019年8月に STORES に入社。STORES ネットショップ、STORES レジのプロダクト開発に従事。エンジニアリングマネージャーが育児休暇を取得するときの代理リーダー業務をしている。

誰かに使ってもらえるとやっぱり嬉しい。
STORES への転職の理由

──まずは、これまでのキャリアを教えてください。これまでどのような仕事をされてきたのでしょうか?

専門学校でプログラミングに触れたのがきっかけで、その後プログラマーになりました。最初に就職したIT企業は、社員40名程度の小さな会社。事業会社ではなく、さまざまな会社にエンジニアを派遣する会社でした。そのため、僕自身もいろいろな客先でさまざまな経験を積みました。最初に携わったのは、カーナビのシステムを作る仕事で、音楽を流す機能などを作っていました。作っていたカーナビを模したテスト機材にiPhoneをつないで音楽が流れた時には「おお!」と感動したのを覚えています。

一方で、辛いこともありました。客先にいくと、大抵プロジェクトは佳境を迎えていて、終電帰りが珍しくありませんでした。その頃、仲の良かった先輩にウェブ系の仕事に誘ってもらい、それからは楽しい思い出が増えました。

──どうして楽しいと感じたのでしょうか。

ウェブ系の仕事はユーザーとの距離が近いので、作ったものへのフィードバックを集めることができたからです。業務システムなどを作っていたので、ユーザーが目の前にいるわけではありませんでしたが、SNSを駆使すれば感想を見つけることができました。やっぱり、人に使ってもらったり、喜んでもらえたりすると嬉しいものです。

──それが動機になって、STORES に転職される方は多いですよね。

僕もそのひとりでした。ユーザーをもっと身近に感じることができる、toCのサービスを展開する事業会社に行こうと考えたのです。その反面、初めての転職にプレッシャーも感じていました。自分の実力が足りなかったら、これまでの会社で培ってきたスキルが通用しなかったらどうしようという思いがあったのも事実です。転職エージェントを通して紹介された STORES は、「都内のおしゃれな会社」という印象。いい会社だなあとわくわくする一方で、ついていけるだろうか、自分は「井の中の蛙」なのではないかという不安を抱えながら入社しました。

──入社したのは、まだ社名がheyだった頃ですよね。どんな印象を受けましたか?

2019年の8月、入社当時の STORES の社名はheyで、全社員総出で行う毎月の定例会「レビュー会」は、恵比寿のオフィスの地べたに座って行なわれていました。今よりずっと小さな規模の組織でしたが、入社前に持っていた期待どおり、いい環境に来たなと感じました。

特に、性善説を信じる社風が、もともと持っていた「こんな会社ではたらいてみたい像」と一致していて。ドキュメントがオープンになっていて誰でも情報を得られることや、Slackで自由に会話する雰囲気には、入ってよかったと思うばかりでした。

印象的だったのは、当時経営陣から発表された方針の「敬意と疑念」です。会社統合のタイミングでさまざまなバックグラウンドを持った仲間が集まってくる時に、相手のやってきたことに敬意を持ち、自分の思っていることに疑念を持ちながら相手と関わっていこうという内容に感銘を受け、「そうだよな」とその言葉を噛みしめたのをよく覚えています。

また、想像どおり仕事ができる人がたくさんいて、それに見合う価値を出さなければならないという焦りも感じていました。メンバーの技術力は高く、仕事の進め方がすごく上手で。「めちゃくちゃがんばらなきゃ」と毎日が焦りの連続でした。

コミュニケーションの齟齬を想像力で埋める。
垣根を超えた開発プロジェクト

──入社されてから手掛けた仕事で、心に残っているものはありますか?

ふたつあります。ひとつは、STORES ネットショップ の決済手段にPayPayを加える開発です。この開発が心に残っているのは、PayPay側と齟齬をなくコミュニケーションをしながら開発するのが大変だったからです。お互いの会社の事情や背景が異なるため、開発に必要な情報ややりとりに齟齬があることが多く、それを埋めながら開発するのは骨が折れました。

──どのようにして齟齬をなくしていったのでしょうか?

相手の立場や背景を想像しました。相手の事情は言ってもらわなければわかりませんが、必ずしも全てを話してもらえるわけではありません。こちらが想像力をはたらかせて推測することで、情報のすれ違いや齟齬を少なくすることを心がけました。「向こうはこういうことをしたいはずだから、きっとこの情報はこういう意味なのではないか」と相手の背景を想像し、仮説を立てながら進めることですれ違いを少なくすることができました。

──このプロジェクトのチームはどのような雰囲気だったのでしょう。

とってもいい雰囲気でしたよ! 一緒に仕事を進めてくれた森弘さんは仕事の仕方が上手で、時にはムードメーカーになってくれる頼れる存在でした。いまはCRMチームに移籍した西川さんは開発の手が早く、心強かったです。優秀なメンバーのおかげで、終始いい雰囲気で開発を終えることができました。

──実際にリリースされた時はどんなお気持ちでしたか?

X(旧Twitter)で、購入時にPayPayを使った方の「便利だった」という声を見つけて嬉しくなりました。また、オーナーさんから「やっとPayPayが使えるようになって嬉しい」という声をいただいて役に立っていることを実感できたのもいい思い出です。また、この機能を使ったメンバーの「PayPayが使えて良かった」という声をSlackで見つけた時は、身近な人からの反響がここまで嬉しいものなのかと驚きました。今でもふと思い出した時に、STORES での買い物をPayPayで決済してみて、ちゃんと動いているのを見ると嬉しくなります。

──もうひとつの、心に残っている仕事はどんなものなのでしょうか。

この記事が公開されるころにはリリースが済んでいるであろう、 STORES ブランドアプリ と STORES レジ 及び STORES ネットショップ の連携です。お客様にとっては、オーナーさんのお店で商品を買う時、オフラインの店舗で STORES レジ を使って購入しても、ネットショップで購入しても、STORES ブランドアプリ のポイントがつくというもの。オーナーさんにとっては、お客様がオフラインの店舗に来ても、ネットショップに来ても同じお客様だと認識できるシステムです。

──それ、すごく便利ですね。ネットショップでたくさん商品を買っているのに、オフラインの店舗で初めて来たかのような接客をするとけっこう寂しいものです。

まさに、そういう状況をなくすことができます。STORES ブランドアプリ でバーコードを読み込み顧客情報を確認すれば、「たくさん買ってくださっているんですね」という接客をすることができるのです。

──一方で、オフラインとオンラインを横断する開発はさぞ難しかったのではないかと思います。

そうですね。STORES ネットショップ、STORES レジ、STORES ブランドアプリ も、それぞれバックグラウンドの異なるチームです。このチーム間で情報を共有しながら開発を進めてみると、やっぱりコミュニケーションの齟齬が起きてしまいました。

オフィスに集まって、それぞれが開発したものを繋ぎ込んでテストを行ってみると、なぜか動かなかったのです。すぐにその場でそれぞれのログを調べて、原因を特定。食い違っているところを見つけて直すまで、1、2時間で漕ぎ着けましたが、やはり焦りました。

──ここでもコミュニケーションの齟齬が大変なポイントだったのですね。

そうなんです。きっとどこかで齟齬があるだろうとは思っていましたが、やっぱりあったな、という。けれど、社内の風通しの良さが幸いして、会話しながら問題を解決することができました。

ここでも、お互いのシステムを知らないからこそ、相手のことを推測することで問題の解決が早かったように思います。同じ会社なので、ソースコードを見られるのも良かったですね。コードを直接見て、これまでに実装された似た機能の枠組みを参考にし、相手の事情を汲み取りながら開発を進めるのは、難しかったけれどやりがいのあるプロジェクトでした。

──この記事が出る頃にはリリースが完了しているはず。リリースを間近に控えて、どんなお気持ちですか?

この機能を使った人から「いいじゃん」という声がもらえたら嬉しいですね。少しでも使いやすいと感じたり、この機能があって良かったという体験は、きっと購入につながるはず。この機能がオーナーさんのお商売の役に立てたらいいなと思います。

リングフィットアドベンチャー、継続1099日。
仕事の秘訣は継続と習慣化

──今日の取材を通して、開発の背景にある山下さんの努力を随所に感じました。取材の時にぜひお伺いしてみたいと思っていたのが、フィットネスゲーム「リングフィット アドベンチャー」のことなんですが……。もう1000日以上継続していると社内でも有名ですよね。仕事に向き合う姿勢も、この継続の力によるものなのでしょうか。

そう言われてみれば、確かに繋がっているかもしれません。仕事にいい影響があるとすれば、それは継続することによってもたらされる「習慣化」によるものです。たとえば、僕は、毎朝4時に起きてリングフィット アドベンチャーをはじめとするゲームをしたり、自分の時間を楽しんでから仕事をする生活をかれこれ3年ほど続けているんですよ。

──どうしてそんなに早起きになったのですか?

きっかけは、一度寝坊をしてしまったことです。コアタイムが始まる12時を過ぎる大寝坊をしてしまって、心配の連絡がたくさん来ていて、それはそれは焦りました。それから、もう寝坊をしたくないと早起き気味になって、その時間が早くなっていたんです。さらにコロナ禍で通勤時間を自分のものにできるようになってからは、自由時間を朝に持ってくれば仕事の状況に関わらず自分のことができると気づき、4時起きを習慣化しました。

こうして、早起きを起点に1日の生活リズムを作って、それをなるべくブラさないようにすると、毎日の過ごし方が決まってきます。すると、自分のメンタルの状態がよくわかるようになって、調子がよくない時には休憩をとることができるようになったり、結果が出なくても落ち込むことがなくなり、仕事がしやすくなっていったのです。さらに、その生活リズムの中にリングフィット アドベンチャーを使ったトレーニングや、パーソナルトレーニングを組み込むことで、体づくりもできるようになってきました。すると、さらに仕事をする体力や時間の感覚がついてくるという好循環が生まれたのです。ちなみに、リングフィット アドベンチャーの継続日数は1099日。もはや終わり方がわかりません(笑)。

一度しかないプラットフォームづくりに
力を尽くしたい

──最後に、これから目指していることについて教えてください。STORES で成し遂げたいのはどんなことですか?

STORES が構想している、プロダクトを横断したプラットフォームをつくる仕事に力を尽くしたいと思います。それぞれのプロダクトを組み合わせて、ひとつのプラットフォームにするフェーズは、一度できてしまったら二度と経験できない。一度きりの貴重なフェーズに立ち会えていることが仕事のモチベーションになり、いつもわくわくしながら開発をしています。

──プライベートの目標はあるのでしょうか。

パーソナルトレーニングのトレーナーさんに立ててもらった「自分の体重のベンチプレスをあげること」。なんでも、90キロのベンチプレスを上げられるというタレントの武田 真治さんは「90キロのベンチプレスを上げるよりも辛いことはないから、他のことはなんでも楽しめる」と言っているのだとか。僕もその境地にたどり着けるよう、楽しみながら鍛えています。

(写真・文:出川 光)

山下さんのお気に入り:Power of kinnikun きんに君のチカラ
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