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法的な視点で事業の成長を支える。STORES の法務の仕事

STORES のコーポレート部門リーガル・コンプライアンスグループで法務の仕事を行う細川 紀子(ほそかわ・のりこ)さんと、寳谷 兼大(ほうや・かずき)さん。おふたりが担うのは、STORES の一員として事業の成長を目指しながら、時に引いた視点からリスクを指摘したり、相談に応じたりするという難しくもやりがいのある仕事。これまでのキャリアやこの仕事の魅力についてききました。

PROFILE
細川 紀子さん・・・コーポレート部門リーガル・コンプライアンスグループ
2022年6月入社。STORESの法務責任者。最近の関心事は、健康。心身ともに健やかでいることの大切さが染みる今日このごろです。
寳谷(ほうや)兼大さん・・・コーポレート部門リーガル・コンプライアンスグループ
2022年2月入社。細川さんの下でSTORESの法務全般を担当。

法律事務所や大企業の法務を経て STORES へ。それぞれのキャリア

お話を聞いた、寳谷さん。

──リーガル・コンプライアンスグループの取材は初めてですね。早速おふたりの自己紹介からお願いしたいと思います。

寳:寳谷です。私はSTORES が4社目で、その前の3社でも主に企業法務の仕事をしていました。最初、食品メーカーに勤めた後、人材サービスの会社を経て、前職ではギフトのECサービスを運営するベンチャー企業で一人法務を経験しています。

STORES には去年の2月に入社し、現在法務全般について対応しています。STORESの法務の仕事は、契約レビュー等の契約法務のほか、プロダクトに関する法的要件の具備、利用規約等の作成、法改正への対応といった事業法務や取締役会の運営等の機関法務、トラブル対応や社内から寄せられる問い合わせへの対応、社内研修の企画・実施などさまざまです。

お話を聞いた、細川さん。

細:私は寳谷さんの後に STORES に入社しました。去年の6月に入社したので、まだ入社1年も経っていません。現在社会人13年目のほとんどの時間を法律事務所の弁護士として過ごしてきました。

仕事は大好きで楽しいけれど、弁護士としての働き方と子育ての両立に悩み、弁護士に相談に来る以前の企業の法的問題に興味を持ち、旅行のサブスクリプションサービスを運営する会社の執行役員や上場前後のベンチャー企業、急速な事業成長を遂げたプライム市場の企業の法務を経て 、STORES を紹介してもらいました。現在マネジャーを務めていますが、企業の中ではたらく経験は寳谷さんの方が先輩なので頼りにしています。

マネジャーという立場はいただいているものの、何せ人が足りていないので、寳谷さんと一緒に実務を行っています。

──お二人は、なぜ法律の仕事を志したのでしょうか?

寳:元々やりたいことがあまりない性格で、法律の道に進んだのは、法的論理的思考を身につけようと法学部を選んだためでした。法務の仕事を始めたのも社内異動がきっかけで、私の場合は、はじめから法務という仕事を希望していたわけではないです。

法務の仕事はいまだに性格的に向いていないと思うこともありますが、なんとか続けられているのは、法学部での学び等を通じて身についた法的論理的思考力などを仕事に活かすことができ、自身が貢献できる余地が少しはあるからかもしれません。

細:私が法律の道に進んだのは母の影響でした。法学部を出た母から弁護士になった同級生の話を聞く中で、直感的に弁護士に憧れを持ち、そのまま法学部に入って弁護士になるまで深く考えることなく進んでしまったので、実際に弁護士になってその仕事の厳しさに向き合って、最初の数年は後悔していたほどです。

けれど仕事をしていくうちに「法律は武器なんだ」と気付かされました。使い方を知っていれば、よく使うことも悪く使うこともできるのだと。また、私自身が企業の中で、単発の案件としてではなく長期的な目線で関与すること、多くのメンバーと協力しながらやり遂げることに喜びとやりがいを感じるのだとわかり、現在の法務の仕事に至ります。

──ありがとうございます。お二人とも入り口は強い意思でなくとも、だんだんと法律の仕事の意義や相性に気付いていかれたのですね。STORES ではたらくことを決めたのは、なぜなのでしょうか。

寳:一番の決め手は「この人たちのためになりたいと思えるか、その会社が実現しようとしていることに共感できるかどうか」でした。また、STORES の法務はまだ立ち上がったばかりで、自分が入ることで役に立てる幅が広いと感じたことも理由の一つです。

細:私もそうです。やっている事業と、面接で会った方たちから受けた印象から直感的に決めました。また、課題が多くやれることがたくさんあることも STORES を選んだ理由のひとつです。私たちの入社理由、けっこう似ていたんですね。

気持ちは横並び、けれど時に第三者視点も

──他の部署やチームと違って、法務の仕事は第三者的な視点から指摘をするなど一歩引いた立場を取っている印象があります。社内でのありかたはどのようなものなのでしょうか。

寳:同じビジョンに共感している仲間なので、私たちだけが第三者という感覚は全くありません。一方で、法務の仕事を果たすという意味においては、例えば事業担当の方などが「オーナーさんのため」を考える傾向にあるところ、法務の視点では一般の消費者の方その他のステイクホルダーの方を視野にいれて考え、時にはこれらの方の利害といった観点から指摘することもあるため、このようなスタンスが一歩引いた立場に見えるのかもしれません。

細:事業から引いた視点の提供をすることですよね。気持ちは横並びですが、持っている視点が違うということだと思います。けれど、同じ会社ではたらく仲間として、指摘をする時は「なぜだめなのか」「どこまでならやっていいのか」も一緒に伝えたり「その目的ならこういう方法もある」と提案しています。

また、 STORES には複数事業がありますが、この橋渡しの仕事をするのも特徴のひとつですね。

──細川さんは弁護士の仕事と比較して、現在の仕事をどう感じられていますか?

細:想定していた以上の情報量でしたし、現場の事情を踏まえて判断する難しさがありました。また、限られた時間で、協力し言葉を掛け合って乗り越えていく、会社一体となって働いた結果が積み上がっていく楽しさがあります。一方、外部の弁護士には、高度の専門性を元に堅い判断が求められ、それを果たしてくれる当社の顧問先の先生方も本当に頼りにしています。

──寳谷さんは大企業での法務を経験されていますが、規模の違いはあるのでしょうか?

寳:会社の規模で一律に論じるわけではありませんが、傾向として大企業ではネガティブリスクを下げることに注力するあまり、機会を失っていることが少なくないように感じます。
一方で、もちろん違法なものを許容することはありませんが、STORES の法務では保守的になりすぎるのではなく、リーガルリスクなどを適切に評価し、必要な場合にはとれるリスクはとるという判断が求められますので、法務のスタンスには違いが出やすいように思います。

私個人としては、企業法務のスタンスや対応次第で事業成長を止めることまでありうると考えていますので、この点、当社のような法務の場合は積極的に事業成長を支えられるやりがいがありますし、目的などに鑑みて、課題を解決する別の提案まで求められる面白さもあります。

形式的なリスクがあることを理由にNoと言うのは簡単ですし、一方でリスクを評価し解決策を模索することは大変ですが、企業法務の価値を発揮しやすい環境と言えるかもしれません。

他にも、担当業務の幅の広さなどは大企業と比べると違いが出やすいかもしれませんね。

相談ごとによって時には議論や提案ができるのは法務ならでは

──実際のお仕事の進め方について教えてください。まず、社内からの問い合わせと、そうでない仕事の比率はどのくらいなのでしょうか。

寳:案件管理を始めたばかりなので、感覚によるところが大きいですが、7:3くらいで問い合わせや相談に答える割合のほうが多いように感じます。

──仕事の7割を占めている社内からの問い合わせですが、相談のフローはどうなっているのでしょうか。マネジャー以上でないと相談できないなどの制限を設けていますか?

寳:いえいえ、現在は誰からでも、どんなことでも相談いただけるようにしていて、専用の問い合わせフォームに入力するなどしてご連絡いただければ、法務からお答えするようにしています。案件の規模や社内外への影響に鑑みて、こちらからマネジャーを巻き込むことはありますが、役職によって相談できないなどといったことはありません。

──ということは、毎日さまざまな相談が寄せられそうですね。

寳:そうですね。すぐに返事ができるものから数ヶ月かかるものまでさまざまです。粒度も緊急度も難易度もばらばらですが、件数が多いということもあり、現在はこれらの対応に多くのリソースを割いている状態です。

細:今の会社の状況を踏まえると、誰からでもどんなことでも相談を受け付けられることが重要なんですよね。「これって大丈夫なのかな」と思いながら仕事をすることがないように、すぐに相談できる状態を作って周知するのが大切だからです。それでもまだ発掘しきれていない悩みや相談事があるので、まずはそれをなくしたいですね。

──この相談では、法に触れているかどうかを答えるのでしょうか。

細:相談ごとによって提案や議論が必要であれば一緒に解決策を探ります。法的に問題か、だけではなく、事業としてあるべき姿を法務のバランス感覚から議論に参加させてもらうこともあります。これまでも、CSチームが上げてくれたオーナーさんからの相談が、事業にとって向き合うべき重要な課題を明確にしてくれたということがありました。問い合わせの数で言えばひとりやふたりの声かもしれないけれど、これで利用をためらうオーナーさんがいる可能性がある。サービスの本来あるべき姿を探って、がちがちの法律論ではない議論をすることができました。

寳:違法か適法かの判断だけであれば社外の弁護士に聞けば良いとも思われますが、社内に法務がいることで、事業がやりたいことなどを理解し、一歩踏み込んだリーガルリスクの評価や解決策の提案ができることに企業法務の価値があるんだろうと思います。

細:そうそう、その通りです。

──お二人でこの相談に対応しているということは、かなりの数の相談が寄せられているのではないでしょうか。

寳:そうなんですよ。大小さまざまですが、月に120件ほどの問い合わせがあるので、その他の業務も含めるとやることだらけの状態です。寄せられている相談に対してどこから/どこまでリソースを投下するかの判断もリスクマネジメントのひとつ。ありがたいことに、現在は同じチームに業務委託としてサポートしてくれている方やオペレーション周りを1人で担ってくれている方がいるおかげで相談対応等に集中できますが、今後は寄せられる相談を平準化していくことで、対応品質を維持しつつ生産性を上げていきたいですね。

細:対応の丁寧さにも差をつけざるをえなくなっているのが心苦しいです。けれど、こういうごちゃごちゃな状態をさばいていくのが好きな人はけっこう多いはず。これから一緒に働いてくれる新しいメンバーに期待しています。

“ひとり法務”をしている人も、未経験の人も

──新しいメンバーのお話がでました。どんな方がチームに合いそうでしょうか?

寳:誠実な方であってほしいなと思います。職種理解が難しいため、周りからは見えないことも多い法務ですが、社内にだけ良い返事をしたり、視点を事業だけに偏らせたりせず、オーナーさんや一般の消費者の方、お取引先、株主の方など、さまざまなステイクホルダーのためになっているか/裏切ってはいないか、真摯に向き合える人がいいなと思います。また、法務という職種の性格上、ダメなことをダメというシーンは避けられませんが、このような場合であっても相手個人を否定するのではなく、一方で、問題から目を背けずに健全な批判ができる方であってほしいと思います。あとは……私も細川さんも賑やかなタイプなので、チーム内のmtgなどでうるさくしていても苦にならない方がいいかもしれないですね(笑)

細:私は、不完全さやプレッシャーを楽しめるメンタルを持っている方がいいんじゃないかなと思います。寳谷さんのように論理的に細やかに積み上げて検討できるタイプはそうでないかもしれませんが、私みたいな直感派は「見落としがないかな」とプレッシャーがかかってしまうので、それを楽しめる方だったらいいなと思います。寳谷さんが仰ってくれた指摘の仕方も大切ですね。「言いづらいけれども、あなたに対して思うことがあるから指摘するわけではないし、会社のためを思えば言わなければならない」と言える気持ちを持っている方がいいなと思います。

──はたらく環境はどのようなものでしょうか。ハードワークかどうかも気になるところだと思います。

寳:やることが多いため大変だというお話はしましたが、それも労働時間内のことであって、長時間労働が常態化しているような環境ではありません。のちのちの法務組織のあり方も見据えて、残業を当たり前にするような働き方はしていないのでご安心いただいて大丈夫です。フレックス制度の会社で、また、リモートワークも可能なので、柔軟な働き方も可能です。

一方で、複数のプロダクトがあり、また、そのうちの、例えばSTORES 決済 は関連する法令も契約関係も複雑なため、企業法務のなかでも対応の難易度は高いと思います。とはいえ、即戦力のご経験を必須としているわけではなく、法的論理的思考力がある方で当社で企業法務をやりたいと思ってくださる方であれば、経験が浅くても大歓迎です。入社後は細川さん中心にチームで支えられる環境でもありますので、ご興味のある方はぜひご連絡いただければと思います。

細:はたらく環境については、コアタイムが12時から16時と短く自由度が高いと思います。私は午前中に子供を病院に連れて行ったり、授業参観に行ってきたりできていますよ。どんな風にこの自由度やはたらきやすさを表現したらいいのかわかりません。また、休みも気持ちよく取ることができます。

昨年、夏休みをいただいたのですが、お休み中は一切仕事をせず、家族のために朝から夕方まで時間をつかって、社会人になって初めて、休み切るという経験をしました。一番負担がかかる寳谷さんが気持ちよく送り出してくれて、帰ってきた時にも仕事が全く溜まっていなくて、本当にスムーズに仕事を回してくれていて、本当に感激したんです。こんなに嬉しいことはありませんでしたし、休むことの重要性を改めて感じました。

法律の仕事って、頭も目も神経も使うので、疲れるとさらにミスを生んでしまいどんどん辛くなるので、休むのがとても大事。メンバーが集中して仕事をし、その分ちゃんと休みをとる、その中でできない仕事は今の法務体制ではできないと会社にわかってもらうのが私の役目なので、はたらく環境については安心してください。

──今 STORES の法務ではたらくのを迷っている方に伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?

細:まず、私が STORES ではたらくのを楽しんでいることを伝えたいです。現在メンバーが4名いて、得意不得意があるからこその、チームとしてお互いの良さを発揮しながら支え合い、はたらく喜びを日々感じています。法務は硬い仕事が多いし、その価値を共感してもらうのは簡単ではない、しんどいな、大変だなと思っている人はぜひここにおいでよ、と伝えたいですね。「楽しみながら働ける場所はあるかもよ?」って。

寳:柔軟な働き方を実現しながら、企業法務のなかでも幅広い経験を積むことのできる会社ですので、当社のビジョン等に共感いただける方にとっては良い環境ではないかと思います。職種理解が難しい法務ですが、STORES では上司(細川さん)含めその価値を理解してくださる方も多いため、この意味においてもモチベーション高くはたらけるのではないかと思います。

STORES の成長を法務として支えるために

──最後に、これからおふたりが目指すことや、やりたいことを教えてください。

寳:短期ではもう少し法務全体のレベルアップが必要ですが、中長期ではリスクマネジメントシステムの構築を進める必要があると考えています。今後は目の前の対応や法務相談の対応に終始するのではなく、会社全体のリスク低減にプロアクティブに寄与する取り組みも進めていきたいですね。

細:ほうやさんがおっしゃったことに完全同意です。あとは、私は STORES のサービスを横断して使う時に妨げになるものをクリアできる提案ができたらと思います。STORES の面白さは、オーナーさんのお商売を支えるサービスをいくつも持っていること。けれど、その妨げになるものがまだまだあります。その中には、法務の提案でクリアできるものもある。事業に伴走しながらそういう提案ができたらいいなと思っています。

(写真・文:出川 光)

細川さんのお気に入り:「生クリーム仕込みのスコーンのお店」
STORESに入社後、STORESを使ってくださるオーナー様を自分で検索し、そのオーナーがどのような気持ちでお商売をしているのか、というストーリーを調べる機会があり、その時に見つけたオーナー様のお店です。そのストーリーに胸を打たれ、早速注文してみたら、優しい味で美味しかったです。心が暖かくなりました。

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